2002 Fiscal Year Annual Research Report
DNA酸化傷害バイオマーカーの確立と食品抗酸化成分の機能性への応用の基盤的研究
Project/Area Number |
01J01765
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河合 慶親 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 酸化ストレス / 脂質過酸化反応 / DNA傷害 / モノクローナル抗体 / バイオマーカー |
Research Abstract |
活性酸素により生体成分が酸化されることにより種々の生理活性を有する化合物が生成し、これが多くの疾病の発症や進展に関与していると示唆されている。本研究においては発がんの引き金となりうるDNA傷害について、酸化ストレスの代表的産物である脂質過酸化産物の関与に焦点を当て研究を進めてきた。前年度までにリノール酸過酸化産物によってDNA中のグアニン残基が修飾されたOxo-heptyl-etheno-dG(Oxo-hep-edG)付加体の化学的解析を行い、本付加体を認識するモノクローナル抗体の作製・応用によりその生体内での存在を示した。Oxo-hep-edGはリノール酸過酸化由来の主要なdG修飾産物であることが示唆され、脂質過酸化産物によるDNA傷害機構を検討する上での良い指標となりうると考えられた。今年度は他の塩基についても解析を進めた結果、リノール酸過酸化産物はグアニン残基のみでなくシトシン残基も効率よく修飾することが明らかとなり、その主要な産物として新規付加体であるOxo-hep-edCを単離し、機器分析によりその構造を同定した。これらの付加体はいずれもリノール酸の分解により生じた4-オキソ-2-ノネナール(ONE)に由来したものであることが明らかとなった。また、ONEはこれまでに知られている種々のアルデヒド類に比してDNA塩基に対して顕著な反応性を有することが明らかとなった。Oxo-hep-edCはdG付加体に比してONEで処理した仔ウシ胸腺DNA中においてより効率よく生成することがLC-MS/MS分析により明らかとなった。以上の結果より、ONEは脂質過酸化由来のDNA傷害において重要な役割を担っている可能性が示唆され、特にシトシン付加体の重要性が考えられた。現在、シトシン付加体を認識する特異的モノクローナル抗体の作製を進めているところである。また、以上の化学的解析結果について、より詳細な検討を行うため、in vitroの系としてラット肝細胞(RL34)を用いて、またin vivoの系として四塩化炭素などの脂質過酸化誘導剤を投与したマウスを用いて解析を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)