2003 Fiscal Year Annual Research Report
動的再編成ニューラルネットワークによる自律移動ロボットの頑健な制御器の進化的構築
Project/Area Number |
01J01769
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
十倉 征司 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニューラルネットワーク / 自律移動ロボット / 進化ロボティクス / 実時間適応 / ニューロモジュレータ / 神経修飾 / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
ロボットのコントローラを遺伝的アルゴリズムなどの進化的計算手法を用いて自律的に構築する進化ロボティクスでは,ロボットの身体性などを陽に意識しなくとも,コントローラの構築に反映される等の優れた特徴を有している.しかし,多く利点を有する反面,実機を用いての直接的な進化は現実的に不可能である.そのため,シミュレータで進化させた最良個体を実移動ロボットに実装しても,未経験環境である実環境において適切な行動を発現することは難しい.この問題に対し,従来は,進化過程において入出力に意図的にノイズを印加することにより,コントローラの頑健性の獲得を目指した手法などが提案されてきた.しかしながら,意図的に加えるノイズの適切な量や質についての明確な指針は存在していない. 一方,近年の神経生理学の研究により,神経回路は状況に応じて動的かつ迅速に回路特性が変化していることが明らかになった.この現象は,神経修飾物質の働きによるものと考えられている. そこで申請者は,状況に応じて動的かつ迅速に回路特性が変化する生物の神経回路の働きを工学的にモデル化し,コントローラ特性を状況に応じて実時間で変更するコントローラを構築してきた.加えて,タスク達成に必要な行動要素を進化的に,かつ自律的に構築した.そして,未経験環境下において,実時間で変化するコントローラの多型性を利用することで,状況に応じた行動をリアルタイムで調整・生成していることを確認した.加えて,構築したコントローラの内部を解析することにより,タスクに応じたコントローラが出来ていることを確認すると共に,世界の分節化を自律的に行えたことを確認した.これらの知見を基に,他の制御方策を用いて研究されてきた非線形問題であるバックトレーラ問題に対し,本手法を適用し,実機実験・解析を行うことで,コントローラの有効性を示した.
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