2002 Fiscal Year Annual Research Report
RhoキナーゼとCRMP-2による神経回路網形成機構の解明
Project/Area Number |
01J01796
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有村 奈利子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CRMP-2 / Rhoキナーゼ / phosphorylation / tubulin / シグナル伝達 |
Research Abstract |
脳神経系は極めて精巧な神経回路網を有する。ごく最近、神経回路網の形成を担う様々な細胞外神経軸索ガイダンス因子が同定されてきた。しかしそれらの下流でどのような細胞内シグナル伝達分子が成長円錐の運動とそれに伴う軸索のガイダンスの制御を行うのかはほとんど理解されていない。申請者はRhoキナーゼの新規脳内標的蛋白質CRMP-2を同定した。そして、Rhoキナーゼ特異的なCRMP-2のリン酸化や成長円錐の形態変化をモニターすることによって、細胞外シグナル依存的な成長円錐の退縮にRhoキナーゼが重要な役割を果たすことを証明した。本研究では神経回路形成におけるRhoキナーゼとCRMP-2の機能とその作用メカニズムを解明することを目的する。本年度の研究業績は以下の通りである。 1)CRMP-2はtubulin dimerと結合するがmicrotubulesにも弱く結合し、その結合がRho-kinaseによるリン酸化により阻害されることを確認した。 2)成長円錐の退縮を引き起こす事で知られるephrin-A5刺激によりDRG neuronにおいてCRMP-2のリン酸化が上昇することが確認された。 3)CRMP-2はN1E-115細胞において突起の伸展を促進した。しかし、Rhoキナーゼによるリン酸化されるアミノ酸をアスパラギン酸に変換したCRMP-2変異体(リン酸化されたCRMP-2を模倣したもの)は突起の伸展の促進効果が弱かった。 以上の結果からRhoキナーゼによるCRMP-2のリン酸化は、microtubulesへの相互作用を介して細胞骨格系に関与している可能性が示唆された。Rhoキナーゼが細胞内で時間空間的にどのようにCRMP-2をリン酸化しているかは今後の研究で明らかにしていく予定である。 以上のことから、平成14年度の研究計画はほぼ達成されたものと考える。
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