2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J01810
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
江成 祐二 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子 / 高エネルギー物理 / 加速器 / チェレンコフ光 / 粒子識別 / CPの破れ |
Research Abstract |
本研究の目的は、チェレンコフ光を用いた新型粒子識別装置TOPカウンターを実用段階にまで開発することである。当面の目標としては、現在つくば市にある高エネルギー加速器研究機構にて稼動中のBファクトリー実験の次期システムにTOPカウンターを搭載することとしている。この実用化に向けて行った本年度の研究実績について述べる。 前年度までの研究において、(1)TOPカウンターの基本的な原理面の理解、(2)Belle検出器に搭載に向けてのTOPカウンターの形状に関するの読み出しの抜本的改良、について大幅な進展があった。この結果は国際会議'8-th International Conference on Instrumentation for Colliding Beam Physics'にて発表し、そのproceedingとして論文にまとめた。本年度は考案した新しい形状のbar-TOPカウンターが実現可能なのかということを課題として研究を行った。 この考案した形状は、今までの検出器とほぼ同等の能力を保ちながら、形状は石英ガラスと光検出器のみという非常にシンプルなものである。本年度の研究の成果として、この新しいカウンターは光の波長依存性の影響を大きく受けることが判明した。その効果を抑える対策として、長波長領域の光を用いることがあげられる。実用化に向けては、光検出器の光電面にGa・As又はGa・As・Pを使用することが最適であることが分かった。このような光電面は非常に特殊で高価であるので、簡単には実験に使えない。そのため、このことを確かめるために、短波長領域をカットするバンドパスフィルターを用いて、高エネルギー物理学研究機構の施設、PSπ2ラインにてビームテスト実験を行った。その結果、長い伝播距離であるL=2mの時に、時間分解能120psと非常に良い結果が得られた。これは計算結果ともよく一致し、実用化にも耐えうる分解能である。 これらの成果は実用化に向けての第一段階、原理的な研究はほぼ終了したといえる。実用化には長波長領域の光を使うことが重要になるので、これからは光検出器の開発が最重要課題となる。現在ロシアのBINP研究所、浜松ホトニクス等と連絡をとりながら、MCPPMTのテストを行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Enari et al.: "Progress on Time-Of-Propagation counter -a new type of ring imaging Cherenkov detector-"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research. A494. 430-435 (2002)
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[Publications] T.Hokuue, Y.Enari et al.: "R&D report on fine-mesh multi-anode PMT with TTS=100 ps under B<=1T"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research. A494. 436-440 (2002)