2002 Fiscal Year Annual Research Report
現代中国における農業構造再編に関する研究-日本との比較にみる中国農業の将来展望-
Project/Area Number |
01J01813
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
森 路未央 東京農業大学, 国際食料情報学部, 特別研究員PD
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Keywords | 中国 / 農業経済学 / 開発経済学 / 農村開発 / 土地使用権流動 / 農村労働力流動 / 農業大規模経営 / 市場経済化 |
Research Abstract |
PD採用第2年度の平成14年度は、7月1日から9月30日(92日間)に中国農業大学経済管理学院(北京市)の短期訪問学者として活動した。主な活動内容は、(1)経済停滞地域である内陸地域における農業構造再編策を究明するための現地農村実態予備調査、事前調整、資料収集の実施、(2)近年日本農業が中国などからの農産物輸入の急増によって農業経営に大きな影響を与えられている現状に鑑み、中国の対日輸出用生鮮野菜の生産地域・企業においていかなる生産・流通・加工構造が構築されているか調査することである。 (1)の調査対象は、国家レベル貧困地域に指定されている四川省南部県の各レベル政府機関、大規模農家、一般的規模の農家である。目的は農家労働力の流出が農業に与えた影響を明らかにすること、課題は労働力の流出に伴う土地経営権貸借関係の究明、地域における農業経営の担い手の存在と貸し出し側である農家の大まかな現状を明確にすることである。調査県ではGDPの約6割が農村労働力の流出によってもたらされた仕送り収入であること、Uターン起業者によって大規模農業経営が行われていることなどが明らかになった。来年度は、土地使用権の貸借関係である双方を一戸一戸訪問し、農村土地市場の取引関係と家族農業経営の現状に関して調査する。 (2)の調査対象は、沿海南部地域に位置する福建省における対日輸出用生鮮野菜の生産・流通・加工一体型企業、および個人経営の流通業者である。明らかになったことは、対日輸出用生鮮野菜の産地が沿海部を中心に広域化、存立条件として他産地の端境期に生産が可能な自然条件の存在、国内外の生産過剰による収益性の悪化を緩和させる対策として生産品目の多様化、輸出先の拡大、業務用加工品シェアの向上をはかることであった。本地域では、農業労働力の高齢化、食糧過剰と価格の下落、生産技術の欠如、などの問題を抱えていたことから、企業では農場の土地経営権主であった農民を農場の労働力として雇用し、農家に安定的な収入をもたらした。本課題は来年度も継続し調査する。
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Research Products
(1 results)