2002 Fiscal Year Annual Research Report
甲殻類の脱皮抑制ホルモンの作用に関する生理・生化学的研究
Project/Area Number |
01J02204
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
仲辻 晃明 甲南大学, 自然科学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脱皮抑制ホルモン(MIH) / エクジステロイド / 脱皮 / Procambarus clarkii / 甲殻類 |
Research Abstract |
甲殻類において,Y器官からの脱皮ホルモン(エクジステロイド)の分泌は,眼柄内のX器官-サイナス腺系から分泌される脱皮抑制ホルモン(Molt-inhibiting hormone ; MIH)により抑制的に調節されているという仮説が,Y器官の培養実験や眼柄の除去実験の結果より提唱されている.しかし,脱皮周期に伴う体液中のMIH濃度の変動についてはどの甲殻類においても報告されておらず,生体内でMIHがエクジステロイドの分泌を調節しているかどうかは明らかでない.そこで,本年度は,昨年度に確立した二抗体サンドイッチ法による時間分解蛍光免疫測定法を用いて,脱皮周期に伴う体液中MIH濃度の変動について解析を行った. まず,脱皮間期(体液中のエクジステロイドレベルが低い時期)の個体から3時間ごとに体液を採取し,体液中MIH濃度の日周変化について調べたところ,MIHの濃度に変化はみられなかった.この結果は,脱皮間期にはMIHは連続的に分泌され,Y器官からのエクジステロイドの分泌を抑制していることを示唆しており,昨年度のMIHの投与実験の結果(平成13年度実績報告書参照)と矛盾しない. 次に,脱皮周期に伴う体液中MIH濃度の変動について解析を行った,種々の脱皮ステージの個体から体液を採取し,MIH濃度を測定した.その結果,脱皮間期から脱皮前期(体液中のエクジステロイドレベルが高い時期)に移行するときに体液中のMIH濃度は低いレベルになっていた.この結果より,体液中MIH濃度の減少が脱皮間期から脱皮前期へと移行するときの引き金となっているということが示唆された.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Nakatsuji, H.Sonobe: "Regulation of ecdysteroid secretion from the Y-organ by molt-inhibiting horomone in the American crayfish, Procambarus clarkin"Proceedings of the Japan Society for Comparative Endocrinology. 17. 88 (2002)