2002 Fiscal Year Annual Research Report
現代ケニア農耕民社会の<開発>と<文化>をめぐる社会人類学的研究
Project/Area Number |
01J02371
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石井 洋子 東京都立大学, 人文学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ケニア / ギクユ / 開発 / 文化 / ムエア灌漑事業 / 動態 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、ケニア共和国最大の民族集団であるバントゥー系農耕民ギクユ(Gikuyu)を対象とした社会人類学的研究を実施した。具体的には、国民国家成立以降(1963年-)から現在までの時代背景を扱い、現地調査において、開発政策に対応するギクユ人社会の動態を指摘し、それを裏付ける第一次資料、第二次資料の収集を行った。現地調査はこれまでと同様、ケニア山南麓に位置するムエア灌漑事業区にて行った。本年度の主な成果はこれまで収集した1年半あまりの現地での調査データ、そして3月初頭までの同地におけるフィールドワークの結果を用いて、第一次資料の分析、文章化を通じて、筆者の考えてきた<開発>と<文化>の接点についての考察を加えた。現在、アフリカ人類学では人々の日常世界を包摂する拡張的な領域までを研究視角として把握する必要性が説かれている。雑誌『民族学研究』において、ポリティカルエコノミー論と人類学の接点が取り沙汰されているのも、その傾向を示していると言えよう。しかし、日本の人類学研究では、そうしたテーマを扱う論考は未だ少ないという現状があったのは否めない。そうした研究上の背景を受け、本研究では脱植民地下のアフリカ農耕民社会において展開された開発政策と社会的適応の問題を扱い、新たな社会関係や社会組織の再編を生み出す可能性を問い直し、個別社会における微細な動きのなかで記述しようと試みることに成功した。
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Research Products
(1 results)