2002 Fiscal Year Annual Research Report
分化細胞におけるClpプロテアーゼの時空間的情報発現系の解析
Project/Area Number |
01J02463
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
七宮 英晃 立教大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 枯草菌 / 細胞分化 / Clpプロテアーゼ / ComK / ClpX / 分子シャペロン / リボソーム |
Research Abstract |
枯草菌コンピテンス誘導系において、ComK蛋白質はcomGオペロンを含む後期コンピテンス遺伝子群やrecA遺伝子、およびcomK遺伝子自身を正に制御する転写制御因子として機能する。このComK蛋白質の転写後制御機構に、ATP依存性Clpプロテアーゼの調節サブユニットの一種であるClpX蛋白質が関与していることを見出した(J.Biochem.in press)。転写後制御機構は、mRNAの安定性や翻訳効率など複数の段階からなる複合過程であり、とくに蛋白質合成装置であるリボソーム機能は極めて重要な役割を担う。リボソーム自体の基本的な機能は、従来からの豊富な知見の蓄積があるものの、その一方で、細胞の生育過程に応じたリボソーム機能の動態変化については、その可能性がいくつか報告されているのみであり、枯草菌ではほとんど知られていない。そこで、ComKの転写後調節機構を知るための一助として、各生育段階におけるリボソーム中に存在するリボソーム蛋白質の構成変化を検討することとした。 解析にあたり、各生育段階の細胞から抽出した粗リボソーム分画を、RFHR二次元電気泳動により展開し、MALDI-TOF MSにより、得られたスポットの同定を行った。その結果、ゲノム配列上類推される57種のリボソーム蛋白質のうち、51種について検出することができた。そのなかで、L31蛋白質(RpmE)のパラログであるYtiA蛋白質が、遷移期から定常期の生育過程にある細胞より抽出した粗リボソーム分画に存在することが分かった。これに対し、RpmE蛋白質は栄養増殖期にのみ見出されることから、これら2種のL31蛋白質は、細胞の生育に応じてリボソーム上において入れ替わることが判明した。このことは、リボソーム蛋白質の構成が生育過程において変動することを示した初めての知見である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hideaki Nanamiya: "Involvement of ClpX Protein in the Post-transcriptional Regulation of a Competence Specific Transcription Factor, ComK Protein, of Bacillus subtilis"Journal of Biochemistry. 133・3(In press). (2003)