2002 Fiscal Year Annual Research Report
Rho-キナーゼとミオシンホスファターゼによる種々の細胞機能の制御機構
Project/Area Number |
01J02524
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河野 洋治 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Rho / 細胞骨格 / Rho-キナーゼ / MBS / CRMP-2 |
Research Abstract |
低分子量GTP結合蛋白質Rhoファミリーは、Rho、Rac、Cdc42などのメンバーからなる。なかでもRhoは、細胞増殖因子なとの細胞外シグナルの下流で細胞運動、細胞質分裂、平滑筋収縮、癌細胞の浸潤転移などの細胞高次機能を制御することが知られている。私共はRhoの標的蛋白質としてRho-キナーゼとミオシンホスファターゼのサブユニットのひとつであるmyosin-binding subunit(MBS)を同定している。さらに、運動細胞や分裂細胞において空間的に制御されたRho-キナーゼによるMBSのリン酸化は、細胞運動や細胞質分裂を遂行する上で重要な役割を担うことを明らかにしている。 以上の研究成果をふまえて、私共は新たなRho-キナーゼとミオシンホスファターゼによる細胞機能の制御機構を明らかにする目的でRho-キナーゼの新規基質蛋白質を検索し、Collapsin response mediator protein-2(CRMP-2)を得た。さらに、CRMP-2結合蛋白質の検索を行い、Racの標的蛋白質であるSpecifically Rac1-associated protein (Sra-1)を同定した。Sra-1はこれまでにRacの下流でアクチン細胞骨格を制御することが知られているWAVE1と結合し、WAVE1の活性を抑制することが報告されている。私共はCRMP-2がSra-1及びWAVE1に直接結合することを明らかにした。また、CRMP-2を免疫沈降した際に、Sra-1及びWAVE1が共沈降することを明らかにした。以上の結果から、CRMP-2がSra-1/WAVE複合体を介してアクチン細胞骨格を制御する可能性が考えられた。本年度の成果は、Rho-キナーゼとミオシンホスファターゼによる細胞機能の制御機構を理解する上で極めて重要である。従って本年度の研究計画はほぼ達成することとができたと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kawano Y: "Involvement of small GTPase Rho in cardiovascular diseases"Nippon Yakurigaku Zasshi. 120(3). 149-158 (2002)
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[Publications] Kawano Y: "Smooth muscle contraction by small GTPase Rho"Nagoya J Med Sci. 65(1-2). 1-8 (2002)