2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J02528
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
下里 裕子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自家不和合性 / アブラナ科植物 / 受容体型キナーゼ |
Research Abstract |
アブラナ科植物の自家不和合性は、1遺伝子座のS複対立遺伝子によって支配され、花粉と柱頭のS遺伝子の表現型が一致したときに不和合となる。S遺伝子座には、SP11(塩基性低分子量蛋白質)、SRK(受容体型キナーゼ)、SLG(分泌型糖蛋白質)という3つの多型を示す遺伝子が存在する。これまでに、花粉表層に存在するSP11が柱頭細胞膜上に存在する(同一S遺伝子型の)SRKのリガンドとして機能していることを明らかにしてきた。従って、不和合性反応はSP11のSRKへの結合と活性化によって誘導されることが明かとなった。更に柱頭細胞膜画分上では約60kDaのSLG様蛋白質がSP11と結合しており、SRKと共に受容体複合体を形成していることが示唆された。そこで、このSLG様蛋白質の同定及びSP11受容体の構造について、解明を目指した。 まず、異種細胞系においてSP11受容体複合体の再構成を試みた。異種細胞系(酵母およびCOS-7細胞)にSRK単独もしくはSRKとSLG共に発現させ、この細胞膜画分を用いて^<125>I標識したSP11による結合実験を行った。しかし、何れの細胞においても活性型のSP11受容体を得ることは出来なかった。そこで、柱頭細胞膜上のSP11受容体複合体の構成要素を再検討することにした。Biotin標識化SP11を用いた受容体複合体のアフィニティー精製を行うことで、SRKおよびSLG様蛋白質が回収されることを確認した。その結果、SP11は可溶性画分中(SLGを含む)の蛋白質とは結合していないことが明らかとなった。更に、受容体複合体を形成している60kDa蛋白質の分子量は柱頭中の可溶性SLGより大きいことが判明し、この蛋白質が少なくとも可溶性SLGとは異なる分子であることを明らかにした。
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