2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の発生分化過程における組織特異的スプライシング制御機構の解析
Project/Area Number |
01J02569
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
神 唯 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 選択的スプライシング / RNAタンパク質 / fox-1遺伝子 |
Research Abstract |
脊椎動物の多くの遺伝子でスプライシングバリアントの存在が報告され、選択的スプライシングが発生分化過程に重要な役割を果たすことが強く示唆されている。しかしながら、発生分化過程、及び組織特異的に発現し選択的スプライシングを制御する因子は現在までに殆ど報告されていない。私はモデル生物であるゼブラフッシュを用いfox-1相同遺伝子を同定、発現パターンを解析し、zfox-1 mRNAが初期発生段階において筋肉系列組織に特異的に発現することを明らかにした。さらに生化学的な解析からRNA結合タンパク質であるzFox-1がGCAUG配列を特異的に認識すること、fox-1遺伝子がミトコンドリアATP合成酵素γサブユニット(F1γ)遺伝子及び、α-アクチニン遺伝子の筋肉型スプライシングを促進できることを、培養細胞を用いた実験により明らかにした。 今年度は、マウスにおいてもfox-1遺伝子を同定し、ゼブラフィッシュfox-1と同様の機能を有していることを明らかにした。さらにFox-1が、アクチニンの選択的スプライシングを制御するとき、PTB(Polypyrimidine tract binding protein)によるスプライシング抑制を競合阻害的に解除していることを明らかにした。また、Fox-1がFibronectin EIIIbエキソンの使用を促進しうる事を見いだした。Fibronectin EIIIbエキソンの使用促進には下流イントロンに存在する複数のGCAUGが必須であることが知られていた。 今後はどのような分子機構によりFox-1が各遺伝子の選択的スプライシングを制御しているのかをより詳細に明らかにしていきたいと考えている。実際にはin vitroスプライシング解析やzFox-1タンパク質が相互作用する因子の同定を行っていく。
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Research Products
(1 results)