2002 Fiscal Year Annual Research Report
否定神学化する哲学―マリオン、レヴィナス、デリダの宗教哲学
Project/Area Number |
01J02724
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関根 小織 京都大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フランス現象学 / マリオン / レヴィナス / デリダ / 否定神学 |
Research Abstract |
1.20世紀末のフランス哲学において、神観念はなお重要な位置を占めており、これはとくに「現れないものの現象学」と呼ばれる思想家たち、ジャン-リュック・マリオン、エマニュエル・レヴィナス、ジャック・デリダに顕著であるが、彼らの神についての言説の形式には否定神学との類似性が認められる。 まずこれらの点が最も顕著であるのはジャン-リュック・マリオンの思想であるため、彼の哲学における偶像崇拝批判論を中心に各テクストを検討分折を行なった成果を、裏面記載のように発表・公表に向けての研究活動を行なった(このために国内旅費を活用した)。マリオンの思想から明らかになったことは、哲学の否定神学化の要因には、神や差異や異他性の概念的思考に対する絶対的超出を強調するということがあり、その帰結として否定神学的な言説様式への接近(修辞化)と神の不在というニヒリズムの危険に由来する倫理への指向とが認められるということである。これを本研究では現代哲学の修辞化と倫理化と名称化し、レヴィナス、デリダにも共通に見られることを指摘した。 2.また神や差異や異他性といったものの人間の概念的思考に対する絶対的超出を主張することの発端には、現象学における「現れないもの」への注目が契機となっており、こうした点を明らかにするためにエマニュエル・レヴィナスの初期現象学研究と主著形成と関連の分祈検討を行ない、裏面記載のように発表・公表に向けての活動を行なった。
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