2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J02745
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中井 淳史 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 考古学 / 中世 / 土師器 / 手工業生産 / 文化史 / 解釈理論 / 日本 |
Research Abstract |
昨年度にうかびあがった三つの課題について、本年度は研究をおこなった。 ひとつは、土師器の器名の問題である。従来は器名について知られていても、それが実際どの製品に対応するかはじゅうぶんに検討されてこなかった。この考証作業は文献史料から生産の問題を考えるうえでも重要である。昨年度から検討をつづけてきたが、本年度もいくつかの史料を補訂し、研究成果としてまとめることができた。史料調査などで、書籍購入などをおこなった。 第二の課題は、土師器の属性分析から生産集団の相違をみるものである。中世後期の状況については、昨年度から引き続いて検討をすすめ、資料調査もおこなったが、本年度は12〜13世紀の状況をあらたに検討することができた。平泉・韮山・鎌倉は、中世政治史において重要な地域であり、都市の成立という観点からの議論がおこなわれている。その関連で工人・職人の移動が想定されてきたが、これらの地域で出土する土師器をとりあげて検討することで、土師器工人は移動しないと結論づけた。この成果を論考として公表したが、資料調査による旅費、文房具費などを支出した。また、工人集団の動向を把握する史料の調査もおこなった。 第三の課題として、考古学の解釈理論に関する検討がある。これは、昨年度から継続して着手するなかで、考古学における資料解釈という根本的な部分から再検討する必要性を認識した結果である。本研究ではまた、模倣行為の意味を理論的にあとづけることも課題のひとつと位置づけているが、これらの解決のためには、文献史学・美術史学など隣接諸分野の成果を参照することが不可欠である。関連分野の書籍を相当量購入した。以上の課題は歴史考古学全体をみわたしてもじゅうぶんに議論されていない領域であり、まだ萌芽的な域を出るものではないが、いくつかの論点を中間報告として、口頭で発表した。
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Research Products
(2 results)