2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J02748
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉野 秋二 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 長屋王家木簡 / 米飯支給 / 食器管理 / 伝馬制 / 労働力編成 |
Research Abstract |
本研究では、「雑徭制の構造と展開」「長屋王家の身分編成」「都城における徭役・雇傭労働力編成の展開」という主要三テーマを設定しているが、本年度は、その内、第二・第三テーマ「長屋王家の身分編成」「都城における徭役・雇傭労働力編成の展開」に関して、口頭報告「米飯木簡に関する基礎的考察」(平成15年9月、日本史研究会古代史部会)を行った。内容は、長屋王家木簡の食料支給伝票木簡から米・飯支給量の身分別の相違を読み取り、正倉院文書など関連史料も通覧した上で、労働力編成現場における給食システムの実態を解明したものである。さらに、「食器の管理と饗応」(『文字と古代日本 第4巻』吉川弘文館、平成16年4月以後発刊予定)を執筆した。その内容は、長屋王家・二条大路木簡と伴出墨書土器を分析素材として、律令制下の家政機関が日常・非日常の食器管理をいかに実行したのか、政所(務所)の物資出納機能に着目して解明したものである。また、第一テーマ「雑徭制の構造と展開」に関連して、律令交通制度の内、雑徭制を主要財源とする伝馬制について、国郡制の成立過程と関連して地方財政史的見地から研究を進めている。以上、本年度の研究によって、社会集団・組織の編成形態の実態解明に関して、分析素材の開拓も含め成果を得た。前年度主要テーマとした徭役制に関わる部分での研究の前進とあわせ、「律令体制下の国家・社会における労働力編成の構造と展開を具体的かつ体系的に把握する」という当初の目標を、三年間の研究期間においてかなりの部分で達成できたと考える。
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Research Products
(1 results)