2002 Fiscal Year Annual Research Report
学校組織と高校生の逸脱行動 社会ネットワーク分析による日米比較
Project/Area Number |
01J02759
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上川 一秋 京都大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 社会資本 / 社会ネットワーク / 教育制度 / 教育機関 / 社会コントロール理論 / 逸脱論 / 教育社会学 / 学校文化 |
Research Abstract |
米国のデータ分析においては、高校生の問題行動に加え、高校生の進路についての情報も説明の対象とした。その結果、教師と生徒のネットワークには、問題行動を抑えるだけでなく、大学への進学率をも促進する効果が発見された。さらに教師ネットワークの特徴によって、教育効果が異なることも発見された。必ずしも連帯の強い教師ネットワークが教育効果を持つというわけではなく、かえって同僚関係のうすい教師が生徒ともつ関係ほど、生徒の進路に対する影響力が高いことがわかったが、このことは従来の社会資本理論では説明しきれない現象である。さらなる分析によると同僚関係のうすい教師ほど、生徒に対するコミットメントや思い入れが強いということが分かった。この論文は、米国の「教育社会学」誌に投稿予定である。 日本のデータに関しては、インタビューを高校の教師と行うことで、教育め問題を理解整理した。現場においては、学力低下の問題が切実に意識されており、教師は学校の権威や教育力の低下は、ある程度、生徒をとりまくコミュニティーの社会コントロール能力の低下と関連していると捕らえていることが分かった。現在の課題は、これらの理解を元に、調査表をデザインすることである。 日米比較は、二つの社会の比較であり、方法論的に限界がある。従って、40カ国のデータ(TIMSS)を用いることにより、教育制度の特徴と、問題行動の頻度の関係を現在分析している。選考研究によると、試験制度と校内暴力の関係が研究されているが、私の研究においては、学校内の教師の協力体制と、学校内の生徒問題の頻度に注目している。ただし、教師の協力体制に関する情報がTIMSSにおいては希薄であるという点が問題点である。
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