2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J02763
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢島 洋一 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | スーフィズム / イスラム / タリーカ |
Research Abstract |
これまで13-15世紀のイラン・中央アジアにおけるイスラム神秘主義者たちの活動、特に彼らが形成した流派・教団(タリーカ)について研究してきたが、その過程でタリーカの概念そのものを再検討する必要性を認識した。タリーカは従来の研究で捉えられていたような確たる教団組織ではなく、より柔軟な存在形態を持っていたこと、またその存在形態を理解するための方法論として、タリーカの諸相を以下の五つの視点から検討すべきであることを、いくつかの事例研究から明らかにした。五つの視点とはすなわち、(1)教統(2)教義(3)教団(4)帰属意識(5)他者の認識、であり、それらを総合することで「一つのタリーカ」,「タリーカの成立」などの意味が明らかになる。タリーカがイスラーム世界史において重要な役割を演じたのは周知のことであるが、その機能を論ずるためには形態の把握が不可欠の前提であり、その意味で本研究の成果がタリーカ研究の基礎づくりに貢献し得るものと考える。 この問題に関しては今年度に二度口頭発表を行い、それぞれタリーカ一般の存在形態、具体例としてのクブラウィーヤ・タリーカの存在形態について述べ、現在それらを扱った論文を準備中である。 また、上記のダリーカの諸相のうち、教団組織としての面、特に教団指導者の世襲問題についても研究を進めており、教団における世襲のパターンや、血統に対する教団員の意識などについて明らかにした。その成果の一部は既に論文化しており、論文集の一編として発表予定である。
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Research Products
(2 results)