2002 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの形態形成におけるFASCIATA遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
01J02860
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
賀屋 秀隆 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | シロイヌナズナ / 形態形成 / FASCIATA / CAF-1 / ASF1 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
研究目的は,DNA複製に伴うヌクレオソーム再構築時における遺伝子の発現状態を安定に維持する機構(エピジェネティック情報の維持機構)がシロイヌナズナの形態形成においてどのような役割を果たしているのかを明らかにすることである.この機構に関わる因子であるFASCIATA(FAS)遺伝子を手がかりとして本研究を進めている. 1)asf1a ; asf1b二重突然変異体はfas突然変異体と類似の表現型を示す FAS(CAF-1)と同様にDNA複製依存的なヌクレオソームの再構築に関わる因子であるanti-silencing function1(ASF1)に着目し,解析を行ってきた.シロイヌナズナに2つ存在するASF1a, ASF1b遺伝子の機能欠損変異体を単離解析したが、それらの表現型は野生型と酷似していた.そこでasf1a ; asf1bの二重突然変異体を作出したところ,葉の鋸歯状化や根端分裂組織の細胞配列の乱れなど,fas突然変異体と類似の表現型が観察された.しかし、fas突然変異体の特徴である花茎の帯化は観察されなかった.このような表現型解析からasf1突然変異体の異常の程度はfas突然変異体より弱いと考えられた.この結果はin vitroにおいてASF1はCAF-1の活性を補助するという報告とよく一致していると考えられる. 2)ASF1がS期チェックポイント制御,ヒストン脱アセチル化制御に関与することを示唆 asf1二重突然変異体はDNA損傷誘導剤であるMMS,ヒストン脱アセチル化阻害剤であるTSAのいずれについても,野生型よりも高い感受性を示した.この結果は,ASF1がcell cycleのS期チェックポイント制御あるいはヌクレオソーム再構築に伴うDNA修復と再構築時のヒストン修飾に関与する可能性を示唆するものと考えている.
|