2003 Fiscal Year Annual Research Report
放射線や活性酸素によるDNA塩基損傷の生成とその修復機構の研究
Project/Area Number |
01J02866
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮部 泉 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 放射線 / 活性酸素 / 塩基損傷 / 5-フォルミルウラシル / rad60 / チェックポイント / 複製ウォーク / 二重鎖切断 |
Research Abstract |
放射線や活性酸素により生じる酸化的塩基損傷はDNA複製を阻害するものであり、通常の代謝によっても生じる。DNA複製の阻害はゲノムの不安定化を引き起こし、細胞死やがん化の原因の一つとなると考えられている。細胞はこのようなDNA複製の阻害に応答するメカニズムを備えている。それらのうち代表的なものの一つがチェックポイント機構であり、DMA複製阻害時に細胞の増殖を止め、停止した複製フォークを安定化していると考えられている。分裂酵母Schizosaccharomyces pombe rad60遺伝子は生育に必須であり、二重鎖切断の修復を制御していると考えられる。我々はこのrad60遺伝子が二重鎖切断の修復だけでなく複製阻害からのDNA複製の再開を調節していることを見いだした。rad60-1変異株をDNA複製の阻害剤であるHydroxyurea (HU)で処理すると野生株と同じように細胞分裂を停止することができるが、その後HUを除いて細胞分裂を再開させると"cut"細胞が出現する。またこのときの染色体DNAをパルスフィールドゲル電気泳動法によって検出することによってrad60-1変異株ではHUを除いた後のDNA複製が完了していないということが示された。一方、rad60-1変異は崩壊した複製フォークの修復に必要とされるmus81遺伝子や停止した複製フォークのプロセシングを行うとされるrqh1遺伝子の欠失変異と合成致死であることも明らかにした。このことはRad60タンパク質が停止した複製フォークからのDNA複製の再開を調節することによって複製フォークの崩壊を防いでいることを示唆している。rad60-1変異株でもチェックポイント機構の活性化は正常に起こるので、この働きはチェックポイントとは別の経路であると考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Zhang, Q.-M., I.Miyabe, S.Yonei et al.: "Strong static magnetic field induces mutations through elevated production of reactive oxygen species in Escherichia coli soxR"International Journal of Radiation Biology. 79. 281-286 (2003)