2002 Fiscal Year Annual Research Report
造網性クモ類における配偶者認知機構とその地域変異に関する研究
Project/Area Number |
01J02878
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡部 健 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 東南アジア / Octonoba属 / カタハリウズグモ / DNA / 台湾 / 南西諸島 / 網構造 / 地理的変異 |
Research Abstract |
平成14年度は、東南アジアから日本に至るOctonoba属のクモ類の系統関係、および同種の地理的な変異を調べるために、生物地理学的に重要な情報をもつと考えられる台湾、および日本の南西諸島の複数地点で採集を行った。また採集に際して、個体が形成していた網の構造の測定と撮影を行った。 台湾での採集は主に、本島中部の東海岸側で行い、解析に使える個体数を確保することができた。南西諸島では、先行研究によって、島ごとに別種が記載されていた。しかし、その根拠は主に生殖器の形態的な差異によるものであった。今回、形態的な分類が、遺伝的にも裏付けられるかどうかを検証することができるだけのサンプルを確保することがでた。以上のサンプルを用いて、現在、DNA分析を進めている。 網構造の形態に関しては興味深いことに、緯度を下がる程、網糸の総長が減少する傾向が見られた。また、体長で補正して、Octonoba sybotides(カタハリウズグモ)のパラメーターと比較すると、横糸間隔が、より広めに形成されていることもわかった。このような網構造のパラメーターは、個体の栄養状態と、環境中の餌サイズとの関連で決まると考えられるが、残念ながら滞在時間の都合により、現地の餌生物がどのような種構成で、どのようなサイズ分布であるかについては充分な情報意を得ることができていない。この件に関しては、採集を再度行うよりも、現地の研究者との連携を模索している。 以上、14年度の目標であった、東アジアの島嶼に分布するOctonoba属のクモ類の系統解析用のサンプルについては、必要な分量を確保することができており、その分析を現在遂行中である。結果は、順次公表してゆく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takeshi Watanabe et al.: "Geographic color variation in two Geotrupes dung beetles : a further study"Entomological Science. 5・3. 291-295 (2002)
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[Publications] K.Nakata, A.Ushimaru, T.Watanabe: "Using past experience in web relocation enhances the foraging efficiency of the spider Cyclosa argentevalba"Journal of Insect Behaviour. (in press).