2003 Fiscal Year Annual Research Report
リウマチ性慢性関節炎モデルにおけるプロスタグランジンE受容体サブタイプの役割
Project/Area Number |
01J02909
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬木 恵里 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | プロスタグランジン / 受容体 / ノックアウトマウス / 関節炎 |
Research Abstract |
本研究の目的はリウマチ性関節炎におけるプロスタグランジン(PG)E受容体サブタイプの役割について検討することである。PGE2やPGI2は関節炎発症時に浸潤細胞や滑膜細胞から大量に産生されることが報告されている。またPG産生阻害薬であるインドメタシンやアスピリンは抗炎症薬として臨床に用いられていることから、関節炎の病態にPGE2やPGI2が関与していることが示唆されてきた。しかしながら、PGE受容体には4種類のサブタイプ(EP1-EP4)、PGI受容体にはIPが存在するためにその各々が関節炎に対しどのような作用を持つのかついてはほとんど解明が進んでいない。PGE2の4種類の受容体サブタイプとPGI受容体をそれぞれ欠損しているマウスをコラーゲン感作誘導性関節炎病態モデルに適応することを試みている。昨年度までにそれぞれの欠損マウスをコラーゲン感作感受性のストレイン(DBA/1J)に10代の戻し交配を行っている。 本年度は 1、10代まで戻し交配を行ったマウスについてEP1,EP2,EP3,IP欠損マウスでコラーゲン誘導性関節炎を発症させたところ、EP1,EP3欠損マウスでは関節炎発症に変化は無いが、EP2欠損マウスでは発症開始の促進が、IP欠損マウスでは発症スコアの抑制が認められることが明らかとなった。EP4欠損マウスに関してはこれまでのところすべてが新生児死亡を起こしているため実験不能であった。 2、IP受容体欠損マウスのコラーゲン抗体価は野生型と比較して有意な差はなく、また骨表面に沈着する補体の沈着にも明らかな差は認められなかったが、発症した関節での炎症性サイトカイン(IL-1beta,IL-6)の遺伝子発現は抑制が認められた。これらのことから、PGI2-IPシグナルは関節局所における炎症の増強に関与している可能性が考えられた。 以上の結果より、プロスタノイド受容体のなかで、関節炎発症に関して相異なる作用を持つものが存在することが新たに明らかになった。今後は関節炎病態におけるPGE2-EP2シグナル、PGI2-IPシグナルを検討することによりこれらのメカニズムの解明が必要となる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Segi E, Haraguchi K, Sugimoto Y, Tsuji M, Tsunekawa H, Tamba S, Tsuboi K, Tanaka S, Ishikawa A: "Expression of messenger RNA for prostaglandin E receptor subtype EP4/EP2 and cyclooxygenase isozymes in mouse periovulatory follicles and oviducts during superovulation."Biology of Reproduction. 68. 804-811 (2003)
-
[Publications] Takemoto-Kimura S, Terai H, Takamoto M, Ohmae S, Kikumura S, Segi E, Arakawa Y, Furuyashiki T, Narumiya S, Bito H: "Molecular cloning and characterization of CLICK-III/CaMKIgamma, a novel membrane-anchored neuronal Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase (CaMK)."J.Biol.Chem.. 278(20). 18597-18605 (2003)