2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J02919
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉井 淳史 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ToMV / 細胞間移行 / 移行タンパク / Ls1 |
Research Abstract |
トマトモザイクウイルス温度感受性変異体Ls1の解析 トマトモザイクウイルス(ToMV)は、宿主植物の細胞間を移行し感染域を拡げるために、約30kDaの移行タンパク(MP)をゲノムにコードする。ToMVのLs1株は、MPにアミノ酸置換を持ち、非許容温度(32℃)において細胞間移行ができなくなる温度感受性変異体である。温度シフトにより移行能欠損を誘導できるため、Ls1株はウイルスの細胞間移行の研究において重要なコントロールとして現在も利用されているが、なぜ温度感受性になるのかは現在も明らかになっていない。タバコ培養細胞BY2プロトプラストを用い、ウイルス感染後のMPの蓄積量を調べたところ、許容温度の26℃では野生型とLs1のMPの蓄積量に大きな差は見られなかったが、非許容温度においてLs1感染細胞では野生型ToMV感染細胞よりもMPの蓄積が少ないことが分かった。また、シクロヘキシミドの添加により、タンパク合成を停止した後のMPの残存量を調べると、26℃においてもLs1のMPの残存は野生型に比べて少ないことが分かった。32℃ではその差はさらに顕著になった。この結果から、Ls1株の細胞間移行の温度感受性はMPの安定性の低下に起因する事が考えられた。また、Ls1のMPを過剰発現するような実験系においては、32℃でもToMVの細胞間移行が観察された。このことから、MPとしての機能自体は32℃においても損なわれていないと考えられた。以上の結果から、Ls1株ではMPの安定性が低下しており、高温条件下ではウイルスの移行に必要なだけのMPが蓄積しないため、温度感受性の表現型を示すことが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tamai A, Kubota K, Nagano H, Yoshii M, Ishikawa M, Mise K, Meshi T.: "Cucumovirus- and bromovirus-encoded movement functions potentiate cell-to-cell movement of tobamo- and potexviruses."Virology. 315(1). 56-67 (2003)