2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J02936
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅川 嗣彦 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | D-branes / matrix models / tachyon condeusation / Noncommutative Geonicity |
Research Abstract |
今年度は弦理論と非可換幾何学に関連する研究の一環として、D-braneのダイナミクスを記述するモデルとして我々の提唱したK-matrix理論について、更なる研究を行った。 K-matrix理論とは、Type IIやType I string理論における最低次元(0次元)の不安定なD-brane系(non-BPS D(-1)-braneやD(-1)-<D(-1)>^^^^^^-系)に基づく行列模型である。これまでの研究では、任意の知られているD-brane系の配位がこのモデルから構成できることを示し、この理論の一般的な配位は、非可換微分幾何学における多様体、即ちspectral tripleと解釈できることを示した。更に、これらの配位はK-homology群で分類されるため、正しくD-braneの電荷を与えることも見た。分類理論については、更に一般化することができ、不安定な中間の次元のD-brane系の理論で記述される任意のD-braneはKK-theoryで分類されることを示した。以上は全て、これまでのD-braneの記述に代わる全く新しい描像であり、この研究が初めて提唱したものである。 今年度は上の描像をより確かなものとするために、この理論がD-brane配位だけでなく、その上の場の理論も含めて正しく記述していることを示した。一般にD-brane系の有効作用は、そのD-brane系に対応した境界状態とその上の場に対応した境界相互作用の積から定義できる(これも広い意味で境界状態と呼ぶ)。特にK-matrix理論の作用はType IIAの場合、non-BPS D(-1)-braneの境界状態を用いて定義される。我々が示したのは、元の境界状態にD-brane解とそれに対する揺らぎを代入すると、それはD-braneに場の乗った境界状態に等しいということである。境界状態とはclosed stringから見たD-braneの定義であるから、このことは、K-matrix理論の配位が正にD-braneを記述していることを意味している。もちろん構成から有効作用も自動的に再現する。K-matrix理論ではD-braneは配位の一つに過ぎないので、これまではできなかったD-braneのダイナミクスを議論することが可能になったと言える。
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Research Products
(1 results)