2003 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達分子の時間的・空間的制御とその細胞周期における役割
Project/Area Number |
01J02954
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 文子 (豊島 文子) 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞周期 / 細胞分裂 / リン酸化 / 紡錘体 / Plk1 |
Research Abstract |
Polo-like kinase 1 (Plk1)は、M期促進因子(MPF)の活性化、中心体の成熟、紡錘体形成、M期後期のおける染色体分配、細胞質分裂など、様々なM期の諸現象に関与するセリン・スレオニンキナーゼである。我々はPlk1がM期でMPFの必須のサブユニットであるサイクリンB1と、MPFを脱リン酸化し活性化するCdc25Cフォスファターゼの両方をリン酸化し、それらの核移行を促進することを明らかにし、Plk1のM期開始時における重要性を示した。 Plk1はM期の進行に伴い、細胞内での局在が劇的に変化する。このことは、Plk1が細胞内のそれぞれの場所で特異的な基質をリン酸化することにより様々なM期の諸現象に関与することを示唆する。本年度我々は、Plk1の基質特異性を決めるリン酸化コンセンサス配列の同定リン酸化コンセンサス配列の決定を行った。また、この配列をもとにM期の開始を制御するキナーゼであるMyt1がPlk1の基質であることを見出し、論文を発表した。 Plk1はもともと、ハエの初期胚においてM期の紡錘体形成に異常が生じる変異体から同定された。そこで、Plk1の紡錘体制御機構についてヒト培養細胞を用いて調べたところ、Plk1は紡錘体の形成のみならず、紡錘体の配向にも関与することを示唆する結果が得られた。紡錘体の配向を制御する機構は培養細胞ではほとんど研究されておらず、制御因子やそのシグナル伝達経路も不明である。現在我々は、Plk1を含むいくつかの紡錘体制御因子について、紡錘体配向の制御機構への関与をヒト培養細胞を用いて解析している。また、紡錘体配向の制御機構を解析する上で優れたモデル生物である"線虫"のテクニックを学ぶべく、平成15年7月22日-8月11日の期間、アメリカ、コールドスプリングハーバーで行われた"線虫コース"に参加した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 中嶋洋行, 森本(豊島)文子, 谷口栄里, 西田栄介: "Identification of a Consensus Motif for Plk (Polo-like Kinase) Phosphorylation Reveals Myt1 as a Plk1 Substrate."J.Biol.Chem.. 278. 25277-25280 (2003)