2002 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌エンドグリコシダーゼの機能改変と糖タンパク質糖鎖のリモデリングへの応用
Project/Area Number |
01J02979
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 清貴 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | エンドグリコシダーゼ / endo-β-N-acetylglucosaminidase / 糖転移 / Endo-M / 複合型糖タンパク質 / 乳酸菌 / Endo-A / 糖鎖工学 |
Research Abstract |
組み換え糸状菌エンドグリコシダーゼ(recombibant Endo-M)を用いて、糖タンパク質糖鎖のリモデリングを試みた。ウシ膵臓リボヌクレアーゼB(RNaseB)は約14kDaのモノマータンパク質であり、アスパラギン残基の一ヶ所にマンノース5〜9残基からなるヘテロな構造を持つ高マンノース型糖鎖を持っている。この糖鎖をendo-β-GlcNAc-aseで切断することでGlcNAc一残基を残したタンパク質(GlcNAc-RNase)を得ることができた。そこで、Endo-Mの糖転移活性を用いて、鶏卵より調製した複合型糖鎖を有するオリゴペプチド(SGP)をGlcNAc-Rnaseへの導入することを試みたところ、複合型糖鎖を有するリボヌクレアーゼ(Neo-Rnase)を得ることに成功した。この技術を用いれば、種々の組換え糖タンパク質の糖鎖を入れ替えることが可能である。 またエンドグリコシダーゼの糖転移機構を明らかにする目的で、結晶構造が明らかにされたEndo-Aの活性中心に存在する芳香族アミノ酸の変異導入を試みた。その結果、これまで明らかにしたTrp216以外にもPhe243,Trp244がアクセプター基質の取り込みに重要な役割を有していることを明らかにした。これらはEndo-Mにおいても同様であった。 さらに、乳酸菌のエンドグリコシダーゼの役割を解明するためゲノムプロジェクトにより見いだされたホモログ遺伝子のクローニングを試みたところ、Bifidobacterium longum, Lactococcus lactis, Lactobacillus plantarum由来のエンドグリコシダーゼの発現に成功した。これらの基質特異性はEndo-Aとほぼ同様であり転移活性も有していた。特にBifidobacterium由来のものは細胞壁に局在しており、本酵素が糖タンパク質糖鎖を効率良く分解し取り込むために寄与していると予想される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kato, T, Fujita, K, Takeuchi, M, Kobayashi, K, Natsuka, S, Ikura, K, Kumagai, H, Yamamoto, K: "Identification of an endo-β-N-acetylglucosaminidase gene in Caenorhabditis elegans and its expression in Esclzerichia coli"Glycobiology. 12・10. 581-587 (2002)
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[Publications] 藤田清貴, 山本憲二: "微生物酵素を用いた糖タンパク質糖鎖の自由なモデリング"化学と生物. 41・4. 244-249 (2003)