2003 Fiscal Year Annual Research Report
山地源流域における酸中和機構の時間変化の評価と予測
Project/Area Number |
01J03054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 友子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手
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Keywords | 山地源流域 / 酸中和機構 / 森林土壌 / 森林植生 / スケール / 降雨流出過程 |
Research Abstract |
1970-1980年代にかけて、北東アメリカや北ヨーロッパの国々ではpH4.7以下の酸性雨が降り、森林流域からの流出水のpHが5.0以下に低下するなど陸水の酸性化が顕在化する地域が見られた。日本では同程度の酸性雨が降っているのにもかかわらず、現在のところ流出水の酸性化は顕在化していない。将来予測を行なうためには、日本で酸性化が起こっていないメカニズムについて明らかにする必要がある。本研究では、これまで継続して行なっている滋賀県南部田上山地での詳細な水文・水質観測に基づいて、森林の成立と土壌生成にともなう流域の酸中和過程の時間変化について検討してきた。本年度は、これまでに得られた結果や、日本の他の地域で得られた結果それに北欧米との比較から、上述のように日本では陸水の酸性化が顕在化していない原因について検討した。その結果、日本の山地流域においても、森林土壌は北欧米の過去に酸性化した地域と同様に酸性化しているが流出水の酸性化は見られないこと、田上山地で得られた知見からその原因の一つとして岩盤中の流出経路における酸中和が卓越するためであることが明らかとなった。岩盤中の水移動についてはいまだ不明な点が多く、その流出経路とそこでの酸中和過程を明らかにすることが日本における酸性雨の陸水影響の将来予測をする上で重要であることが示された。 また、山地森林流域からの流出水の水質は、斜面の浸透過程のみならず、渓流の流下過程における生物地球化学過程等によってもコントロールされる。それらの過程には、森林植生、土壌、地質、地形などさまざまな要因が関与していると考えられる。そこで、それらの要因の空間分布が山地斜面の酸中和機構に与える影響を評価するために、流域のスケールとの水質の分布を500ha程度の流域内で多点で調査し、実態を捉えた。その結果、多くの無機イオン、シリカ濃度については、集水面積の小さい採水地点では大きくばらつくが、集水面積が大きくなる(>10~100ha)とある一定の値に収束する傾向があることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Asano, Y., Uchida, T., Ohte, N.: "Hydrological and geochemical influences on the dissolved silica concentration in natural water in a steep headwater catchment"Geochimica et Cosmochimica Acta. 67. 1973-1989 (2003)
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[Publications] Ohte, N., Tokuchi, N., Katsuyama, M., Hobara, S., Asano, Y., Koba, K.: "Episodic increases in nitrate concentrations in streamwater due to the partial dieback of a pine forest in Japan : runoff generation processes control seasonality"Hydrological Processes. 17. 237-249 (2003)
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[Publications] 宮田秀介, 内田太郎, 浅野友子, 安藤宏幸, 水山高久: "花崗岩山地一次谷流域の流出現象に及ぼす岩盤地下水の影響"砂防学会誌. 56. 13-19 (2003)
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[Publications] Asano, Y., Uchida, T., Ohte, N.: "Sources of weathering-derived solutes in two granitic catchments with contrasting forest growth"Hydrological Processes. 18. 651-666 (2004)