2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しい摂食調節ペプチドの探索、作用機構の解明およびその応用
Project/Area Number |
01J03102
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大日向 耕作 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手
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Keywords | 摂食促進 / プロスタグランジンD_2 / ニューロペプチドY / 補体C5a / 成長ホルモン / GHS受容体 / グレリン / 中枢神経系 |
Research Abstract |
プロスタグランジン(PG)D_2は中枢神経系に最も多く存在するPGであり、睡眠誘発作用や体温低下作用など種々の中枢作用を示すことが報告されている。我々はPGD_2の摂食促進作用を初めて見出した。さらに、PGD_2の摂食促進作用がニューロペプチドY (NPY)など既知の摂食調節ペプチドを介するかを検討した。PGD_2の摂食促進作用はNPYアンタゴニストで完全に阻害されたことからPGD_2の摂食促進作用はNPYを介していることを明らかにした。さらに、補体C5aの摂食促進作用がPGD_2受容体アンタゴニストおよびNPYアンタゴニストにより阻害されたことから、C5aの摂食促進作用はPGD_2およびNPYを介することを見出した。すなわち補体C5a→PGD_2→NPYという新しい摂食促進経路を見出したことになる。 グレリンは1999年に成長ホルモン分泌促進因子受容体(GHS-R)の内因リガンドとして単離された28残基のペプチドホルモンで、摂食促進作用および成長ホルモン分泌作用を示すことが知られている。グレリンのN-末側のアミノ酸配列を参考にGHS-Rに親和性を示す低分子ペプチドを設計した。Gly-Ser-Trp-Phe-Arg (GSWFR)が低分子としては強力な親和性(IC_<50>=10^<-5>M)を示し、摂食促進作用を示すとともに静脈内投与により成長ホルモン分泌を亢進した。さらに、経口投与でも血清成長ホルモン濃度を上昇させる傾向を示したことから、GSWFRは経口で有効なGHS-Rアゴニストと考えられる。また、GSWFRのGlyをTrpに置換したWSWFRはGSWFRの5倍強力な親和性を示し、より強力な薬理作用が期待できる。これらのペプチドを蛋白質に組み込んで植物で生産し、摂食調節作用や成長ホルモン分泌作用などを有する食品成分として利用するなど、将来の応用が期待される。
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Research Products
(1 results)