2002 Fiscal Year Annual Research Report
CO_2シグナル伝達因子CCM1を介した転写調節ネットワークの解明
Project/Area Number |
01J03117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 謙治 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | クラミドモナス / 二酸化炭素 / 環境ストレス / マクロアレイ / 光呼吸 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
光合成生物において環境条件の変化に応答した遺伝子発現の網羅的解析は、始まったばかりである。特に光合成機能の発現調節を知る上で、単細胞緑藻はモデル系として優れている。また、複数の環境ストレスに対して、ゲノム全体はどのように応答するのかについて知見は乏しい。そこで光合成に対する種々のストレス応答を遺伝子の発現レベルで解析した。本年度では、CO_2濃度と光強度の関係を生理学的、分子生物学的手法を用いて解析した。 はじめに、2つのストレスが光合成特性に対してどのように影響を与えるかを調べるために、光合成活性を測定した。その結果、1.2%CO_2通気条件下では光強度の上昇とともにCO_2に対する親和性が上昇した。このことは2つの環境条件が光合成に対して複合的に影響を及ぼすことを示唆している。 そこで、CO_2濃度と光強度の変化に対して遺伝子発現のレベルでどのような調節がなされているかを調べるため、cDNAマクロアレイ(10,368 EST)を用いてタイムコース実験を行った。高CO_2条件と低CO_2条件、及び通常光と強光条件における発現プロファイルを比較したところ、2.5倍以上の発現量の差がある392クローンのESTを見いだした。これらの発現パターンはCO_2と光強度の変化によって1)ともに誘導されるもの、2)一方が誘導され他方が抑制されるもの、3)一方が誘導され他方に変化がないもの、4)一方が抑制され他方に変化がないものに分類された。またESTクローンを機能別に分類し、その中で発現パターンを比較した。低CO_2条件下においては、CO_2濃縮機構、光呼吸系の遺伝子群が誘導されていた。一方で、光捕集タンパク質、クロロフィル合成系、炭酸固定系の遺伝子群は低CO_2条件、強光条件でともに抑制されていた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Miura, T.Kohinata, S.Yoshioka, K.Ohyama, H.Fukuzawa: "Regulation of a carbon concentrating mechnism through CCM1 in Chlamydomonas reinhardtii"Functional Plant Biology. 29 2/3. 211-219 (2002)