2002 Fiscal Year Annual Research Report
染色体凝縮に必須な分裂酵母コンデンシンの活性制御機構の解明
Project/Area Number |
01J03159
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湯浅 達朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分裂酵母 / 染色体凝縮 / コンデンシン / セパレース / セキュリン / 分子生物学 |
Research Abstract |
我々の研究室では、真核生物のM期の染色体均等分配について研究を行っており、これまでに分裂酵母を用いて、染色体凝縮に必須なコンデンシン、染色体分離に必須なセパレースとセキュリンの各員電子産物の性質を明らかにしてきた。これらの機能をより深く理解するため、我々はこれまでにない新しいスクリーニング方法「Brute force strategy B」を考案し、セパレース・セキュリンとコンデンシンに適応した。具体的な方法は、まずおよそ1000株からなる分裂酵母の高温感受性変異体ライブラリーを構築し、その中に含まれる株全てに、セパレースなどを大量発現する多コピープラスミドを網羅的に導入し、生育の変化を記述するのである。そして差が見られた株について、その原因遺伝子をクローニングする。その原因遺伝子と、セパレースなどは、何らかの相互作用をするものと期待される。この方法により、我々は52株で何らかの生育の差を見いだした。そして、そのほとんど全てで、原因遺伝子(あるいは可能性が非常に高い遺伝子)を単離することができた。これらの中には、セパレース(Cut1)とコンデンシンサブユニット(Cut14)自身の変異体も複数含まれていた。もしこれらが既存の変異体と違った性質を示せば、セパレースとコンデンシンの機能の解明に役立つであろう。また、Cut14の大量発現で生育が悪くなる株の中には、意外にもDNAポリメラーゼαの変異体が含まれていた。さらに、セパレース・セキュリンの大量発現によって生育が悪くなる株が18株取得され、それらの中には姉妹染色分体合着因子コヒーシンや、セキュリン・サイクリンBの分解に必須なユビキチンリガーゼであるAPC/C複合体と26Sプロテアソーム局在化因子Cut8の変異体、さらには複数の転写因子、そして細胞骨格の維持に必須であると思われるTor複合体のサブユニットの変異体が含まれていた。これらの結果は、コンデンシンとセパレース・セキュリンの、これまでに知られていなかった機能の解析において、大きな助けとなることが期待される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 松村拓洋, 湯浅達朗, 林武志, 小原隆之, 木全諭宇, 柳田充弘: "A brute force post genome approach to identify temperature-sensitive mutataions that negatively interact with separase and securin plasmids"Genes to Cells. 8巻4号. 341-355 (2003)