2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J03233
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮澤 理稔 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 境界要素法 / クラック / 誘発性内部震源 / 能動的構造 / 阿蘇火山 / 孤立型微動 / 集集地震 / ダイナミックトリガリング |
Research Abstract |
能動関な性質を持つ構造における、地震波の散乱問題を、理論と観測の両面から調べた。 まず、境界要素法を用いた数値実験により、地震波動場を調べた。弾性波である地震波の伝播する媒質に、波を散乱させる散乱体としてのクラックと、波の伝播に伴う応力変化で破壊が誘発される内部震源を配置した。これは地震波に対して能動的な構造を表現している。この波動場問題には、クラックによる地震波の散乱問題と、クラックの破壊問題が同時に存在する。これらの問題は、これまでにそれぞれ独立に解かれていた。しかし、両問題が同時に存在する時には相互作用を考慮しなければならず、本研究により初めて解かれた。この構造に弾性波を入射させた時、計算された波のコーダ部分に、内部震源を配置しなかった場合に比べて大きな振幅がみられる。能動的な構造における波動場は、いかなる散乱体のみを配置しても再現され得ないことが分かり、また地震波の多重散乱の重要性を再認識させた。これまで地震波の減衰に関わる研究では、内部減衰と散乱減衰を議論することがあっても、不減衰を考慮することはなく、本研究により波動場における不減衰の重要性も指摘した。 このような能動的な構造を持つと思われる阿蘇火山において、火口近傍での地震観測の連続記録を用いて、能動的性質を持つと思われる証拠を見出した。遠地地震波の到達時前後の記録を解析することにより、地震波到達直後から、普段から時折観測される孤立型火山性微動が頻発することを確認した。また1999年集集地震の振幅の大きい遠地表面波によって、火口下で微小地震が誘発された。このようなダイナミックトリガリングが観測され、能動的性質が現れるのは、火山活動と密接な関係を持っていることが分かった。
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