2002 Fiscal Year Annual Research Report
銀河warp・棒状構造の形成進化におけるダークハローの影響
Project/Area Number |
01J03239
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
出田 誠 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 円盤銀河 / 衛星銀河 / 力学進化 |
Research Abstract |
天の川銀河も合め多くの円盤銀河に衛星銀河が認められるが、それらは質量や軌道などによっては力学的摩擦の効果で銀河年齢内に母銀河に落ち込み、著しい力学・化学進化を及ぼすことがある。したがって、摩擦の効果の正しい評価は銀河形成・進化史を考える上で重要である。その一例として、橋本等(2003)の研究で、Chandrasekhar formulaにおけるCoulomb logarithmが衛星の軌道半径に依存していることが指摘されたが、この結果は、線形化した無衝突ボルツマン・ポワッソン方程式を用いた解析的手法でも再現された(学会にて発表)。ところがこれらの研究では、摩擦を及ぼすハロー星の速度分布は等方的としていたが現実には非等方と思われる。そこで摩擦におけるハロー星の非等方性の重要性を同様の解析手法を用いて調査した。その結果、観測・数値計算から示唆されている、動径方向に非等方性の発達したハローの場合には、等方な場合より摩擦の効きが半分程度、よって、従来考えられていたよりも落ち込みの時間尺度が二倍程度長くなり得ることが示された(国際研究会にて発表)。 また、衛星銀河は直接衝突しなくとも、潮汐力によって銀河円盤に影響を及ぼす。我々の銀河円盤は銀河面に対し垂直方向に歪んだ、warpと呼ばれる構造をしているが、この成因の一つとして、大マゼラン雲による潮汐力の効果が考えられる。さらに、この効果はハローの構造にも大きく依存し、モデルによっては大マゼラン雲でwarpを説明できるのではと示唆されている。そこで前年度に引き続き、いろいろなハローモデル下において、実際にそのような現象が起こり得るか否か、かつてない規模の大型数値計算を国立天文台の計算機システムを用いて行い、検証を試みた。その結果、ハローモデルに結果は若干依存するものの、観測されているような大きなwarpを作るには、大マゼラン雲は軽すぎることが判明し、別の要因が必要なことが示唆される(学会にて発表)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 出田誠: "Satellite Decay in Anisotropic Halos"Proceedings of IAU 8th Asian Pacific Regional Meeting. Vol.II. 255-256 (2002)
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[Publications] 出田誠: "Bar Dissolution in Non-spherical Halos"The Evolution of Galaxies III. (発表予定).