2002 Fiscal Year Annual Research Report
成層圏大気中における地球規模の物質混合過程に関する数値的研究
Project/Area Number |
01J03253
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水田 亮 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 成層圏 / 極渦 / 物質混合 |
Research Abstract |
成層圏の冬季極渦の周辺での混合過程について、球面2次元の数値モデルを用いておこなったこれまでの研究をふまえ、現実大気との対応関係、および微細な構造の形成過程を調べた。 まず昨年度からの継続的な研究として、英国気象局(UKMO)の現実大気の4次元同化データセットから得られる等温位面上の風の分布を用いて、南半球上部成層圏における冬季の極渦の内部での輸送・混合過程を調べた。有限時間リアプノフ指数、コンターアドベクションなどの手法を用い、極渦が大きく変動しない真冬について解析した。1992年から2000年の9年間について、風の場の年々変動と混合の強さの年々変動、およびそれらの間の関係を調べた。混合の強さにはこのように大きな年々変動が見られ、それはその場所でのポテンシャル渦度の擾乱についての強さの年々変動と関係づけられることがわかった。以上の結果は論文としてJournal of Geophysical Researchに受理され、印刷中である。 次に、混合過程を調べた数値モデルの流れの中で見られたフィラメント状の微細な構造の形成過程について、渦度強制の形を少しずつ変えて、非周期解から周期解まで解の周期性が連続的に変化する状況での流れのふるまいを比較して調べた。プラネタリー波の臨界緯度にあるよどみ点付近を通過する際に、空気塊は大きく変形を受ける。このときに2点間の距離が指数関数的に縮められる作用により、ポテンシャル渦度の強い勾配が作り出される。一方でそのような強い勾配は周囲に緩和されてゆく作用により徐々に小さくなる。この両者の作用のバランスにより強い勾配を持つフィラメント状の構造の場所が決定されていることがわかった。そして時間的な不規則性を増していっても基本的にはそのような過程が維持されていた。以上の内容を現在論文としてFluid Dynamics Researchに投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Mizuta, R., S.Yoden: "Interannual variability of the 4-day wave and isentropic mixing inside the polar vortex in midwinter of the Southern Hemisphere upper stratoshere"Journal of Geophysical Research. (印刷中). (2002)