2002 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱菌の新規な構造を持つキチナーゼとキチン資化経路に関する研究
Project/Area Number |
01J03402
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 丈士 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | eco-β-glucosaminidase / chitin / Archaea / 超好熱菌 / バイオマス / 耐熱性酵素 / 糖質関連酵素 |
Research Abstract |
これまでに超好熱始原菌T.kodakaraensis KOD1由来キチナーゼが1分子内に2つの異なる切断様式の触媒ドメインを有し、キチンを2糖(GlcNAc_2)にまで分解する事を明らかにしてきた。一方で、T.kodakaraensisゲノムにはGlcNAc_2代謝系酵素の相同遺伝子が存在していない。 そこで平成14年度は、本菌のGlcNAc_2代謝に関わる酵素を同定し、その代謝経路を明らかにする事を目的とした。GlcNAc_2のβ-1,4-結合分解活性を指標にKOD1株無細胞抽出液からN-acetyl-β-glucosaminidase(NAGase)を部分精製し、活性染色により目的タンパク質を同定した。そのN末端アミノ酸配列から対応する遺伝子をT.kodakaraensisゲノム中に見いだした。本遺伝子は2358塩基からなり786アミノ酸残基のタンパク質をコードしており、その推定アミノ酸配列はN末端側の約4分の1がβ-ガラクトシダーゼと相同性を示したが、残りの4分の3は始原菌の機能未知タンパク質以外とは相同性を示さなかった。本遺伝子を大腸菌で発現させ、精製した組換え体は予想に反しGlcNAc_2は分解せず、脱アセチル化されたGlcN_2を分解するexo-β-D-glucosaminidase(Tk-Glm)であることを明らかにした。無細胞抽出液に認められたNAGase活性は脱アセチル化酵素とTk-Glmによる二段階反応によるものであると推定され、新たなキチン代謝経路の存在が示唆された。Tk-Glmは90kDaのサブユニットからなるホモ2量体で、反応至適pH、温度はそれぞれ6.0、80℃であった。キトサンオリゴ糖やその還元体の分解物のTLC分析から、本酵素はオリゴ糖の非還元末端から単糖単位で加水分解するエキソ型酵素であることを示した。本酵素はexo-β-D-glucosaminidaseとして初めて遺伝子が同定されたものである。 現在、本研究の成果をまとめた論文を学術誌に投稿中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 全 崇鍾, 藤原 伸介, 高木 昌宏, 田中 丈士, 今中 忠行: "Tk-PTP, protein tyrosine/serine phosphatase from hyperthermophilic archaeon Thermococcus kodakaraensis KOD1 : enzymatic characteristics and identification of its substrate proteins"Biochemical and Biophysical Research Communications. 第295巻. 508-514 (2002)