2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J03635
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 環 京都大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | インフォーマルセクター / フォーマルセクター / インフォーマルエコノミー / 都市貧困 / スラム / グローバリゼーション / バンコク / 零細・中小企業 |
Research Abstract |
平成14年度前半は、平成13年度のタイでの調査を元に、政策分析の再検討を行い、論文にまとめた(『アジア研究』に投稿)。政策分析の含意として、ISに対する関心の高まりの背景には、一方では貧困問題からの要請、他方ではマクロ経済の課題との関連、という二つの側面があったことが明らかになる。結果として、IS支援を意図した政策は、貧困政策としては一定の限界を持っていた(一部の分析内容に関しては、モノグラフ(英語)として発表)。 政策論の分析を通じて、タイにおける現在のIS論の議論が、従来のようなISとフォーマルセクター(FS)の分断を想定しておらず、むしろ両者の相互依存関係を強調していること、またISの経済的側面が特に注目されている点が明らかになった。このような特徴は、タイの経済・社会の現代的変化と密接に関係している。現代のグローバル化のもと、従来FSとされている領域で、労働形態のインフォーマルエコノミー化が顕著になっている。また同時に、都市の経済社会構造に注目すると、中位国であるタイの中心であるバンコクでは、底辺に海外からの流入労働者、頂点にも外国資本を抱えながらも、階層性が強いタイ社会を反映し、多極化の傾向を見せている。これらの実態を踏まえ、マクロ分析として、都市経済の構造、とくにバンコクの産業と労働市場の変化に関する分析に着手した。 しかし、当事者の側から見ると、マクロの「経済」と「労働」の関係を問うだけでは、貧困問題は解決しない。「労働」とその影響が現れる「生活」の側面の関係に関する分析が不可欠となる。したがって、よりミクロなレベルにおける「労働」と「生活」の側面の分析に関しても同時並行的に準備を進めている。具体的には、2002年度の9月より、チュラロンコーン大学社会問題研究所、Homenet Thailandの協力を得ながら、質問票調査、コミュニティ調査などの準備を進めている。平成15年度は、実態調査をすすめることにより、マクロ・ミクロの実証分析につなげる予定である。
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Research Products
(1 results)