2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J03635
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 環 京都大学, 経済研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | インフォーマルセクター / フォーマルセクター / インフォーマルエコノミー / 都市貧困 / スラム / グローバリゼーション / バンコク / 零細・小中企業 |
Research Abstract |
平成15年度は、チュラロンコーン大学社会問題研究所に、客員研究員として(「指導委託」による)所属しながら、ミクロな実態調査を中心に研究を進めた。マクロ分析より、グローバル化の促進が、都市「経済」と「労働」の急速な再編、そして、社会の多極化の傾向に大きな影響を与えていることが確認されたが、そのような傾向が、ミクロな「労働」と「生活」に与えている影響に関しては、まだまだ研究が少ない。一方で、変化は常に,具体的にある「場」において起こっており、したがって、特定の地域で、フィールドワークを実施することが重要である。 したがって、前半は、下見調査を兼ねて、都市の下層が集住する居住地域でのインタビュー(約20ヶ所。都市における異なる地理的条件と,コミュニティの機能に注目して選択。)、プロジェクト実施サイトへの訪問調査(NGOと政府機関の両方)、簡易質問表調査などを実施した。その結果を受けて、3ヶ所の異なる特徴をもつコミュニティを選択し、主にインフォーマルセクター従事者に焦点を当て、約170世帯(各世帯夫婦を別々に実施。合計約300人強。)に対して、面接質問表調査を実施した。 質問表調査の準備、質問表調査の変更やパイロット調査などは主に、9月-11月に実施され、12月より、本調査を開始した。第一フェーズは、3月までに終了し、16年度に、継続して細かいチェックを行うことになっている。2月初頭に終了した第一のコミュニティに関しては、その後、一部の職業グループを対象に、生産関係、労働の実態をより的確に把握するために、重点的にインタビューを実施した。特に、女性労働者に関しては、フォーマルセクターの末端とインフォーマルセクターの低生産性部門を循環している傾向が確認されたため、ジェンダーの視点を取り入れながら、女性労働者のライフコースを記述調査した。都市の職業機会や,経済の発展と、ミクロなライフコースの双方を追うことで、都市の構造変化と、そのミクロな影響の相互関係、またそれに対する当事者の対応を明らかにすることを試みた。一部の内容に関しては、16年度に、アジア工科大学(タイ)と、リーズ大学(イギリス)との共催で開始される国際セミナーで発表することになっている。
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Research Products
(1 results)