2003 Fiscal Year Annual Research Report
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01J03640
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 憲史 京都大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC1) (90411488)
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Keywords | 財産的 / 罰金刑 / 没収 / 追徴 / 被害弁償 / 損害回復 / 科料 / 被害者 |
Research Abstract |
財産的制裁をどのような場面で利用していくべきか、どのように使い分けていくべきかを明らかにする一助とするため、個々の財産的制裁の目的について探究を行なった。 第一に、アメリカ合衆国の被害弁償命令に関する立法、判例、運用及び改革提案について、前年度に引き続いて研究を行ない、犯罪者が惹起した結果を犯罪者に認識させつつ、損害の回復を行なう目的を有していることを確認した。第二に、アメリカ合衆国で利用が拡大している、刑事司法で生じる費用・手数料の犯罪者への賦課に関する立法、判例、運用及び今後の動向について研究を行ない、犯罪により生じる負担を犯罪者に認識させつつ、国庫収入の増大を図る目的が存在することを考察した。第三に、没収に関するアメリカ合衆国及びドイツの立法、判例、運用及び議論を参考にすることにより、(1)財産に関連する場面では、犯罪収益を剥奪する目的があること、(2)犯罪収益を罰金により剥奪することもあり、没収と罰金の境界線がしばしば不明確であることを確認した。第四に、罰金刑に関するアメリカ合衆国及びドイツの立法、判例、運用及び議論について研究を行ない、その日的が多岐にわたり、それゆえ、罰金額の量定の理由が分かり難くなっていることを確認した。 以上から、犯罪により被害者に直接生じる被害を被害弁償命令で、刑事司法に及ぼされる負担を費用・手数料で、犯罪収益を没収でそれぞれ取り扱うこととし、それ以外の要素、すなわち犯罪態様や法秩序の侵害などだけを罰金で取り扱うことにより、どのような負担を誰に与えたのかを犯罪者にも被害者にも一般国民にも明確にすることができ、有用であると考えるに至った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 永田 憲史: "控訴審での無期懲役の判断に対して、死刑選択基準に関する判例違反を理由に、検察官により上告がなされた事例"甲南法学. 43巻1:2合併号. 53-75 (2003)
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[Publications] 永田 憲史: "覚せい剤約565キログラムの密輸入の事案につき、無期懲役刑を科し、被告人が犯行の経費として得た航空券を没収した事例"甲南法学. 43巻1:2合併号. 77-102 (2003)
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[Publications] 永田 憲史: "刑事制裁としての被害弁償命令(一)、(二)・完"法学論叢. (一)153巻1号, (二)153巻2号. 72-91, 112-136 (2003)