2002 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類における顔認識の比較認知論的・比較発達学的研究
Project/Area Number |
01J03674
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑畑 裕子 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 顔認識 / 比較認知 / 比較発達 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト以外の霊長類であるマカクザル乳児における顔認識を調べる研究をおこなった。 まず、刺激に含まれる全体的、あるいは部分的特徴が、被験体の偏好追視反応に与える影響を明らかにすることを目的とし、以下のような実験をおこなった。この実験では、生後0〜21週齢のマカクザル17個体が被験体として実験に参加した。刺激として4種類の図形を用いた:(1)顔図形(各構成部品の形状と全体的配置が顔様)、(2)対称非顔図形(構成部品のみが顔様)、(3)顔配置図形(全体的配置のみが顔様)、(4)縦配置図形(部品も配置も顔様でない)。これらのうち、(1)-(2)、(3)-(4)を組み合わせ、対にして被験体に呈示し、各刺激に対する追視反応を測定した。実験の結果、マカクザル乳児は顔のように見える図形に対して偏好を示すが、そのような視覚的偏好は、全体と部分のいずれもが顔様である刺激に対してのみ示されることが明らかとなった((1)顔図形>(2)対称非顔図形、(3)顔配置図形≒(4)縦配置図形)。また、このような顔図形に対する偏好は、生後4週齢以降に顕著に現れることが示唆された。本実験で示されたマカクザルの結果は、ヒト乳児における顔図形偏好とその発達的変化に類似しており、発達初期の顔認識において、ヒトとヒト以外の霊長類が共通の基盤を持つことを示唆しているかもしれない。 なお、以上の実験は京都大学霊長類研究所における平成14年度共同利用研究(対応者:松沢哲郎)としておこなわれたものである。また、本実験は、「霊長類の乳児における顔図形認識の発達(3)」(第66回日本心理学会)として発表された。
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Research Products
(1 results)