2002 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度重力流堆積物の剪断歪みを用いた流れの流動機構の推定
Project/Area Number |
01J03685
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 亨 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 堆積学 / 土石流 / 剪断面 / 乱泥流 |
Research Abstract |
土石流をはじめとする高濃度重力流の堆積物には,内部構造として,堆積する時に流れの内部に発生する剪断歪みがみられる.剪断歪みは,上流方向に傾くそり型の剪断面として認識されるものが多く,地層から古水理条件や古地形などを復元する際に重要な構造と考えられる.剪断面の基礎的な性質を明らかにするため,今年度は前年度に引き続いての土石流堆積物の野外調査と,富士山大沢扇状地の土石流堆積物の薄片解析,ガラスビーズによる室内実験を行った.野外調査の対象地域は,新潟県新津市の更新統兎谷層,北海道石狩市と石狩郡にまたがる鮮新-更新統材木沢層である.野外調査では,両地域で過去に起こった土石流の堆積物の産状を観察し,写真とスケッチをもとに詳細に記載した.また,これらの土石流堆積物の堆積環境の推定も行い,ファンデルタなどの,水中斜面であることが判明した.これらの結果から,水中斜面という堆積環境においてはたらく波や潮流などの堆積作用と土石流など重力流の堆積作用とが相互に干渉しあうことで,剪断面など最終的な堆積物の内部構造にどのような影響をおよぼすのか検討している.富士山大沢扇状地の土石流堆積物の薄片は昨年度に作成したものである.薄片の画像解析の結果,剪断面の周辺に比較的細粒な粒子が濃集しやすいことなど,いくつかの特徴的な微細構造が明らかになった.ガラスビーズによる室内実験は,数百個のビーズを用い,斜面上でなだれ落ちさせるものである.この運動の間ガラスビーズどうしにはたらく応力が,剪断面の形成を解く鍵であると考え,現在,実験装置に偏光フィルタを加えて,そのような応力を検出する試みを行っている.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Tamura T., Masuda F.: "Shallow-marine fan delta slope deposits with large-scale cross-stratification : the Plio-Pleistocene Zaimokuzawa formation in the Ishikari Hills, northern Japan"Sedimentary Geology. (accepted, in print).
-
[Publications] 増田富士雄, 藤原 治, 酒井哲弥, 荒谷 忠, 田村 亨, 鎌滝孝信: "千葉県九十九里浜平野の完新統の発達過程"第四紀研究. 40巻3号. 223-233 (2001)
-
[Publications] 藤原 治, 鎌滝孝信, 田村 亨: "内湾における津波堆積物の粒度分布と津波波形との関連-房総半島南端の完新統の例-"第四紀研究. (受理済み印刷中).
-
[Publications] 田村 亨, 高川智博: "堆積学研究会2002年春季研究会野外見学会「一戸堆積盆の形成史」-参加報告"堆積学研究. 55号. 55-58 (2002)