2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J03729
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 剛 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝子多様化 / 受容体型キナーゼ(RLK) / 遺伝子重複 / ゼニゴケ / ミカヅキモ |
Research Abstract |
これまでにゼニゴケからreceptor-like protein kinase (RLK)遺伝子族のメンバーを25遺伝子単離し、キナーゼドメインの全配列を決定したが、これらの遺伝子の受容体ドメインの構造を知るためにcDNA全長配列の決定を試み、21遺伝子のcDNA全長配列および4遺伝子の受容体ドメインの部分配列が決定できた。さらに、新たな2遺伝子のcDNA全長配列も決定した。また、ミカヅキモから断片配列を単離したRLK遺伝子27個のうち14遺伝子について、10遺伝子の全長配列および4遺伝子のキナーゼドメイン全配列と受容体ドメインの部分配列を決定した。プラシノ藻のメソスティグマからもRLK遺伝子の単離を試みたが、RLK遺伝子族に属する遺伝子は単離できなかった。 全長又はキナーゼドメイン全配列決定したゼニゴケRLK遺伝子29個とミカヅキモRLK遺伝子14個、そして既存のRLK遺伝子配列とをあわせて分子系統進化学的解析を行った結果、RLK遺伝子族の受容体ドメインの構造が異なるグループ(サブファミリー)の多様化を引き起こした遺伝子重複の多くはコケ植物と維管束植物の分岐以前に起き、そのうちの少なくとも約半数はミカヅキモと陸上植物の分岐以前に起きていたことが示唆された。 RLK遺伝子族に属するsomatic embryogenesis receptor-like kinase(SERK)サブファミリーには被子植物の遺伝子が大きく分けて3グループ存在する。ゼニゴケからはそのうち1グループに近縁な1遺伝子を単離・cDNA全長配列決定したが、さらにSERKサブファミリーに属する遺伝子の探索を行い、ゼニゴケから新たに2遺伝子、ミカヅキモから1遺伝子を単離・全長配列決定した。解析の結果、3グループの重複はミカヅキモと陸上植物の分岐後ゼニゴケと維管束植物の分岐以前に起きていたことが示唆された。今後これらの遺伝子を用いてシロイヌナズナへの遺伝子導入実験を行い、ゼニゴケとシロイヌナズナとで分子機能が保存されているかどうかの検証を行いたい。
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