2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J03729
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 剛 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 陸上植物 / シャジクモ類 / 遺伝子多様化 / 受容体型キナーゼ(RLK) / 遺伝子重複 / ゼニゴケ / ミカヅキモ |
Research Abstract |
これまでにシグナル伝達率のreceptor-like protein kinase (RLK)遺伝子族のメンバーをゼニゴケから27個およびミカヅキモから14個単離し、cDNAの全長配列またはキナーゼドメインの全配列と受容体ドメインの部分配列を決定した。既存のRLK遺伝子配列とあわせて分子系統進化学的解析を行った結果、RLK遺伝子族の受容体ドメインの構造が異なるグループ(サブファミリー)の多様化を引き起こした遺伝子重複の多くはコケ植物と維管束植物の分岐以前に起き、そのうちの少なくとも約半数はミカヅキモと陸上植物の分岐以前に起きていたことが示唆された。RLK遺伝子族に属するSERKサブファミリーについて遺伝子導入による機能解析を予定していたが、ミカヅキモが単細胞であるためゼニゴケとの機能の比較が困難であることから、RLK遺伝子族の多様化パターンを解釈する上で重要な問題であるシャジクモ類の系統解析を行った。 緑色藻類は緑藻類とシャジクモ類に分けられ、シャジクモ類と陸上植物が一つの分類群(Streptophyta)をなす。しかし、現存するシャジクモ類のどのグループが陸上植物に最も近縁となるかは未解決である。特にこの問題の解決には核にコードされている遺伝子による系統解析が重要であろう。本研究ではシャジクモ目、コレオケーテ目、接合藻類と陸上植物の間の系統関係を明らかにするために、これら4つのグループに属する植物を含め8種の植物より核のRPB1,RPB2,DPLA,DPD1,葉緑体のatpA,psaA,psaB,rpoB,ミトコンドリアの19Sおよび27S rRNA遺伝子の配列決定を行った。これらに加えて核の18S rRNA,葉緑体のatpB,rbcL,16Sおよび23S rRNA、ミトコンドリアのnad5遺伝子のデータを含め、計16遺伝子のデータを用いて最尤法による解析を行った結果、シャジクモ類の中でも接合藻類が陸上植物に最も近縁であることが強く示唆された。
|