2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子をターゲットとした新規機能性金属モチーフの設計
Project/Area Number |
01J03778
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀 雄一郎 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA結合タンパク質 / 人工タンパク質 / Information-based Strategy / Antennapedia Homeodomain / 構造変化 / Cys2His2型亜鉛フィンガー / 新規機能性金属モチーフ |
Research Abstract |
ポスト・ヒトゲノム時代において、特定の遺伝子を認識しその発現制御を人為的に行うことができる人工分子は、生命現象を遺伝子レベルで理解するうえで、有用なツールとして期待できる。本研究では、高い親和性と特異性で遺伝子の特定の塩基配列を認識するDNA結合タンパク質を改変し、そのDNA結合能を構造変化により人工的に制御できる人工タンパク質を設計した。もととなるタンパク質は、Motif Searchingを利用したInformation-based Strategyにより探索し、構造・機能ともに解明されているAntennapedia Homeodomainとした。構造変化を誘起する制御因子は、生物毒性の少なく配位様式が比較的単純な亜鉛イオンとし、制御配列をCys2His2型亜鉛フィンガーの共通配列として、Antennapedia HomeodomainにくみこんだAnt-Fを設計した。 円二色性スペクトルの測定結果から、Ant-Fは亜鉛イオンと結合し、構造変化を誘起することが示された。また、NMRスペクトルの測定結果から、その三次構造が大きく変化していることが示唆された。さらに、亜鉛イオンとの結合によって、熱安定性についても、大きく変化することが示された。一方、Ant-Fとの亜鉛イオンとの配位様式を調べるため、コバルトイオンを分光プローブとして電子吸収スペクトルを測定したところ、配位子のタイプはS2N2型で、配位構造は四面体であることが推定された。次に、Ant-Fの機能制御能を調べるために、ゲル電気泳動の実験を行ったところ、Ant-Fは亜鉛イオンの結合により、顕著にDNA結合能を抑制させることができることが示された。 以上の結果は、金属タンパク質の新たな設計法について、有用な知見を提供し、遺伝子をターゲットにした新規分子として、生命科学の分野への応用が期待される。
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Research Products
(1 results)