2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J03902
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 泰治 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 環状ヒドロキサム酸 / 生合成遺伝子 / コムギ族 / Physical mapping / 座乗染色体 |
Research Abstract |
コムギ、トウモロコシおよびライムギ等のイネ科植物は抗菌化合物である環状ヒドロキサム酸類(Hxs)を合成、蓄積する。一方、オオムギはコムギやライムギと同じコムギ族に属し、それらと遺伝的に非常に近縁であるにも関わらずHxsを集積しない。そこで本研究では、コムギ、ライムギおよびオオムギにおけるHx生合成遺伝子座について遺伝学的見地から解析を行い、コムギ族の進化の過程におけるHx生合成遺伝子の動態について考察することを目的とした。 まず、コムギにおいてHx生合成に関わる5種の遺伝子(TaBx1-TaBx5)のうち、これまで単離されていないTaBx1 cDNAのクローニングを行った。コムギ芽生えより調整したmRNAを用いたRT-PCR、cDNAライブラリースクリーニングによって得られたTaBx1 cDNAはTaBx2-TaBx5と同様にトウモロコシのオーソログ遺伝子と約80%の高い相同性を示した。 次にTaBx1-TaBx5遺伝子の座乗染色体領域を同定するためにコムギの染色体部分欠失系統を用いてサザン分析を行った。その結果、TaBx1-TaBx2遺伝子はコムギの第4同祖染色体(4A,4B,4D)の同一領域に、TaBx3-TaBx5遺伝子は第5同祖染色体(5A,5B,5D)の同一領域にそれぞれマップされた。さらにライムギ染色体添加コムギを用いたサザン分析の結果、ライムギにおいてはTaBx1-TaBx2の同祖遺伝子は第7染色体に、TaBx3-TaBx5の同祖遺伝子は第5染色体に座乗していることが明らかになった。一方、オオムギにおいてはサザンブロット上でTaBx1-TaBx5に対応するバンドが全く検出されなかったことから、オオムギがHxを蓄積しないのは5種の生合成遺伝子全ての欠失によるものであることが分かった。
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