2003 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーに関与する新規MRP1類縁タンパク質の分子機構
Project/Area Number |
01J03906
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 紅 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ABCタンパク質 / 膜脂質動態 / ABCA3 |
Research Abstract |
1.ペキソファジーに関与するPaz17と膜脂質動態 申請者は前年度までに、メタノール資化性酵母Pichia pastorisのペキソファジーに関与する新規MRP1類縁タンパク質遺伝子を単離してPAZ17と名付けた。ペキソファジーは膜の新生、融合などダイナミックな膜脂質動態をともなう生理現象であることから、新規ABCタンパク質Paz17が膜脂質動態に関わる可能性を示唆した。 2.肺胞II型細胞に発現するABCA3 申請者は今年度、同様に膜脂質動態への関与が示唆されるヒトのABCタンパク質ABCA3についても新たに解析を行った。ABCA3は、種々の脂質からなる肺サーファクタントを産生・分泌する肺胞II型細胞内のlamellar body限界膜に特異的に発現している。申請者はまず、ABCA3を安定に発現する細胞株HEK293/hABCA3を樹立し、ABCA3が細胞内のlamellar body様構造体膜にターゲティングされることを示した。ついで、HEK293/hABCA3から調製した膜画分および8-azido- [α^<32>P]ATPを用いたvanadate-induced nucleotide trapping法によりABCA3とATPとの相互作用を検討した。その結果、ABCA3はMg^<2+>存在下、バナジン酸依存的に光親和標識されることを明らかにした。8-azido- [γ^<32>P]ATPを用いた同様の実験ではほとんど光親和標識されなかったことから、ABCA3がATP加水分解活性をもつことを示した。また、膜画分をmethyl-β cyclodextrinまたはphospholipase Bで前処理することによって光親和標識量が減少することを見出した。以上の結果から、脂質成分がABCA3の輸送基質となる可能性を示し、ABCA3がPaz17と同様に細胞内膜脂質動態に関与することを示唆した。
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