2002 Fiscal Year Annual Research Report
協力行動の生起過程において内集団への同一視が果たす機能
Project/Area Number |
01J03951
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
田島 司 北九州市立大学, 文学部, 助教授
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Keywords | 社会的同一性 / 役割取得 / 内集団 / 報酬分配 / 同一視 |
Research Abstract |
研究成果は大きく分けて2点ある。1点目は調査研究である。現実社会で区別されるに有用ととらえられた内集団において、集団全体での行動が自己の意思によるものと帰属されていることが社会的同一性の基盤としての内集団成立の必要条件であることについて検討した。この研究成果は、11月に一橋大学において開催された日本社会心理学会で発表された。 2点目は、前年度までに行った実験室研究によって検討された問題についての再検討である。外集団との対比によって内集団での役割取得、協力行動を促進させるという仮説について、以前の実験でそれを支持する結果を得ているが、その手続きでは、外集団との対比が有る群と無い群とで内集団サイズが異なっており、従属変数に現れた差が対比の有無によるものか、それともサイズによる効果か明確ではなかった。そこで今回は、内集団サイズを一定にして、外集団との対比の強弱を操作した。その結果、外集団との対比を強めた群では、内集団での役割取得、協力行動を促進させるという同一の仮説を支持していた。この研究成果は、来年度の学会において発表する予定である。 補助金によって購入された書籍、論文のコピー等は、すべて今年度の研究で直接的に(発表論文での引用文献として)、また間接的にも(研究の仮説構成からデータ分析、考察過程での基礎的資料として)活用された。また、データ分析は今年度前半に購入されたパソコンおよびパソコンソフトによって遂行された。
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