2003 Fiscal Year Annual Research Report
有害廃棄物処理に向けた超高温・高輝度アークプラズマの活用
Project/Area Number |
01J03982
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
岩尾 徹 中央大学, 理工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | アークプラズマ / 廃棄物処理 / 化学反応 / 超高温 / 高輝度 / 電極損耗 / 吸収 |
Research Abstract |
アークプラズマの大電流・超高温・高輝度という特徴を生かした有害廃棄物処理を行うための基礎特性の把握を行った。以下に、概要を示す。 1.科研費により、新しいアークプラズマ発生装置を開発し、非常に安定で高出力なアークプラズマを発生させることに成功した。本装置は、現在、特許申請に向け、弁理士と相談中である。 2.アークプラズマからの放射パワーに関し、数件の論文を発表し、アメリカ、カナダ、日本で討論を行った。そこで得られた議論を参考に、放射パワーからの吸収特性に関する計算を行い、電気学会に論文を投稿し、2件掲載された。具体的には、アークプラズマは、光学的に厚いプラズマであるといわれており、吸収特性を考慮する必要があるといわれてきたが、本計算により、50A級で直径1cm程度のアークプラズマであれば、吸収はほとんど生じないことがわかった。これにより、廃棄物処理を行う場合、吸収を気にせず行うことができることがわかった。 3.アークプラズマによる廃棄物処理を行う上で、アークが安定にならないことがあり、この現象の解明のため、ミネソタ大学にて、アークプラズマと陽極(廃棄物)との関係についての実験を行った。結果として、アークプラズマ、雰囲気ガス、陽極には、密接な関係があり、これが電圧に大きく影響していることがわかった。この電極、及び、アーク姿態の影響を回避することで、安定的にアークプラズマを発生させることができることがわかった。この研究に関する論文は、JK高電圧シンポジウムにて発表し、優秀論文発表賞を受けた。 4.これまで約2年間アークプラズマの超高温性と高輝度性をいかしたアプリケーションの開発を進めていたが、この両特徴と化学反応をうまく融合した効率の良い廃棄物処理を目指し、化学反応に関する研究を行った。具体的には、アークプラズマの温度と触媒とをうまく利用することで、無害化だけでなく有価値物を得るための計算を行った。 5.この他、アークプラズマによる廃棄物処理やアークプラズマの基礎特性に関し、IOP Applied Physics Dに1件、Vacuum誌に2件の掲載が決定し、学振の最後の年としてふさわしいまとめを行うことが出来た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 稲葉次紀, 岩尾徹, 久保祐也: "直流アークプラズマによる有害廃棄物処理(招待論文)"応用物理. 4, No.72. 444-447 (2003)
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[Publications] 岩尾徹, 宮崎宏和, 吉田秀幸, 山口慶高, 井上順恵, 水野仁一, 稲葉次紀: "タングステン蒸気混入直流空気フリーアークの温度と放射パワー"電気学会論文誌. 123-B, No.7. 866-873 (2003)
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[Publications] 岩尾徹, 井上順恵, 山口慶高, 水野仁一, 稲葉次紀: "タングステン蒸気混入高温空気の吸収を考慮した放射パワー密度"電気学会論文誌. 123-A, No.7. 630-636 (2003)
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[Publications] Toru Iwao, Hirokazu Miyazaki, Tsuginori Inaba: "Tungsten Electrode Erosion on DC Horizontal Short Free Arc in Air"Vacuum. (採録決定). (2004)
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[Publications] Toru Iwao, Yukie Inoue, Hiroshi Kanda, Tsuginori Inaba: "Development of highly intense radiant power equipment with a semi-oval reflector"Vacuum. (採録決定). (2004)
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[Publications] Toru Iwao, Takuya Beppu, Shuhei Ishikawa, Tsuginori Inaba: "Anode Attachment of Torch Plasma Arc with High-speed Lateral Gas Air and Axial Plasma Gas Argon"IOP Applied Physics D. (採録決定). (2004)