2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J04014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
富岡 恭子 (萩野 恭子) 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | コッコリス / 第四紀 / 化石層序 / ODP / 表現形 |
Research Abstract |
ODP Leg 186にて三陸海岸沖から採取された、二本の柱状堆積物試料中の石灰質ナノプランクトン化石(=コッコリス化石)群集における、Emiliania huxleyiのコッコリスの形体に注目して,同種の形体の変遷を走査型電子顕微鏡を用いて観察した. 0.27 Maに出現したE.huxleyiは,最初の約19万年間は低い相対頻度で観察されるが,0.085Ma前後に爆発的に頻度が増加する(=E.huxleyi Acme Zone).このE.huxleyiは,現在の海洋では石灰質ナノプランクトンが分布する全ての海域から豊富に分布しているが,水塊や棲息水深によってコッコリスの形体(=表現形)に違いがあり,その表現形は遺伝学的な違いに由来しているとされている. 本研究の結果,このE.huxleyi Acme Zoneの立ち上がりの前後で,E.huxleyiのコッコリスのproximal shiledの形体に違いが有ることが明らかになった. 0.085Ma以降のE.huxleyi Acme Zoneでは,E.huxleyiの表現形組成は,試料採取地点の現在の海洋表層に於ける現生E.huxleyi群集と同様に,proximal shield elementがT型とrod型の二つの表現形(Type AとType C)のコッコリスが混在している.しかし,E.huxleyi Acme以前(0.27-0.085 Ma)では,proximal shield elementの形体がrod型のType Cの固体のみが観察された.この結果は,E.huxleyiの種内での表現形への分化が,E.huxleyiの繁栄と,E.huxleyi Acme Zoneの成立に貢献していることを示している. 本結果は,Marine Micropaleontologyに投稿するために,現在論文を作成中である.
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