2003 Fiscal Year Annual Research Report
コムギの栽培化にかかわる脱穀性遺伝子Qのポジショナルクローニングと機能解析
Project/Area Number |
01J04078
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
根本 泰江 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 栽培化 / 脱穀性遺伝子Q / パンコムギ / 倍数性 |
Research Abstract |
野生種から現在のパンコムギが成立した際に、栽培化の鍵となった形質である種子の脱穀性(threshing)を制御するQ遺伝子のクローニングを目的として研究を行ってきた。本研究ではパンコムギの染色体欠失系統を用い、Q遺伝子を持つ系統(Q系統)とQ遺伝子が座乗している染色体領域を欠失している系統(q系統)の間で遺伝子発現の差異を比較することによって、Q候補遺伝子の単離を試みた。Q系統とq系統を用い、Q遺伝子が発現・機能していると推定される穎花分化期の幼穂よりmRNAを抽出し、AMF(AFLP利用mRNAフィンガープリンティング)法と、PCR-select subtraction法を用いて候補クローンのスクリーニングを行った。PCR-select subtraction法は、転写産物の存在率の補正とサブトラクション操作を同時に行うことができ、かつ発現量に差のある稀少転写産物を得る可能性が高いという特徴を持つため、転写産物の存在率の補正とサブトラクション操作を同時に行うことができ、かつ発現量に差のある稀少転写産物を得る可能性が高いという特徴を持つため、多面発現を示し発現量の低い転写因子である可能性も考えられるQ遺伝子の探索には有効であると考えられた。AMF法により16種、PCR-select subtraction法によってQ系統で特異的に発現している遺伝子を98個、発現が抑制されている遺伝子を41個のQ候補遺伝子をクローニングすることができた。それらの塩基配列を決定し、BLAST法によって相同性検索を行った。促進型のクローンに関しては機能既知のタンパク質との相同性も見いだせたが、転写因子様の構造を持つ物は見られなかった。B.S.GillらによってQ候補遺伝子がmap-based cloningによって単離され、APETALA2-like遺伝子であるとの報告がなされた(Genetics 2003 164:311-321)。本研究で得られたQ候補遺伝子にはAP2-like遺伝子は含まれていなかった。このことより、当研究室ではAP2遺伝子に焦点をしぼり、ゲノミッククローンの単離、形質転換による機能解析等を進めているところである。
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