2002 Fiscal Year Annual Research Report
老化応答遺伝子を制御するクロマチン構成蛋白質の同定
Project/Area Number |
01J04097
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
道下 江利子 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特別研究員PD
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Keywords | 細胞老化 / 核マトリックス / ブロモデオキシウリジン / プロテオーム解析 / hnRNP C1 / C2 |
Research Abstract |
本研究では私が見い出したチミジンの類似体である5-プロモデオキシウリジン(BrdU)による細胞老化誘導系を利用し、老化応答遺伝子の制御を明らかにする事を目的としている。BrdUによる老化応答遺伝子を解析した結果、その発現にはクロマチン、特に核マトリックス蛋白質が関与することが強く示唆された。 代表的な癌細胞であるHeLa細胞を用いて核マトリックスの調整方法、および核マトリックス蛋白質の二次元電気泳動の条件検討を行い最適な条件を見い出した。代表的な核マトリックス蛋白質であるB23,Lamin A-C, Vimentinなどが含まれている事も確認できた。細胞はBrdUを0-3日間添加した細胞を使用した。調整したそれぞれの画分を一次元目に固定化pH勾配ゲル(pH4-7,pH3-10ファルマシア製)を用いた等電点電気泳動(アナテック社製)、および二次元目にSDS-PAGEを用い、ディファレンシャルディスプレーを行った。蛋白質は銀染色キット(和光純薬社製)によりスポットを検出した。 核画分、核マトリックス面分(全核蛋白質の約35%)を、それぞれ二次元解析ソフトPDQuest (BioRad社製)を用いて、スポット解析をおこなった。約200種類の蛋白質が検出できた。再現よく量的変動を示すスポットが6個観察された。そのうち5個は全核蛋白質の画分においても同様に量的変動を示した。しかし分子量40kDa, pI5.0の蛋白質スポットは画マトリックス画分で量的変動を示したが、全核画分では変動が見られたなかった。これはBrdUの添加により核マトリックスとの結合が強くなったことを示し、当初の作業仮説と一致する。この蛋白質をマススペクトロメトリーを用いて解析した結果、heterogeneous nuclear ribonucleo protein C1/C2 (hnRNPC1/C2)であることがわかった。この蛋白質は核マトリックス蛋白質としてすでに報告されているが、その機能はまだ知られていない。この蛋白質の機能、および正常細胞の老化における関与は今後の課題である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 道下 江利子: "Changes in nuclear matrix proteins during the senescence-like phenomenon induced by 5-chlorodeoxyuridine inHeLa cells"Exp Gerontol. 37(7). 885-890 (2002)
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[Publications] 道下 江利子: "5-Halogenated thymidine analogues induce a senescence-like phenomenon in HeLa cells."Biosci Biotechnol Biochem. 66(4). 877-879 (2002)
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[Publications] 道下 江利子: "細胞老化におけるクロマチン蛋白質の変動"プロテオミクス方法とその病態解析への応用(東京化学同人). 42. 158-164 (2002)