2002 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を利用したマントル鉱物の高温高圧下での弾性波速度その場測定
Project/Area Number |
01J04193
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
肥後 祐司 愛媛大学, 理学部研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マントル遷移層 / 弾性波速度 / Ringwoodite / Majerite / 超音波 |
Research Abstract |
本年度は約4ヶ月間ニューヨーク州立大学との共同研究に基づき、マントル鉱物であるRingwooditeおよびMajeriteの弾性波速度測定および、マルチアンビル型高圧発生装置を用いた超音波速度測定法の習得をおこなった。RingwooditeおよびMajeriteはマントル遷移層の構成鉱物のほとんどを占めるもっとも主要な鉱物であると考えられている。これら、マントル鉱物の高圧条件下での相転移や弾性定数の変化を知ることはマントル遷移層を考える上で非常に重要なことであり、本研究では鉄を含むRingwoodite (Mg_2SiO_4、(Mg_<0.8>,Fe_<0.2>)_2SiO_4)およびMajerite(Mg_<0.9>,Fe_<0.1>)SiO_3、(Mg_<0.8>,Fe_<0.1>)SiO_3の弾性波速度を高圧条件下での超音波法を用いて測定した。実験の結果、弾性波速度はRingwoodite単成分では過去の低圧での実験(Rigden et al., 1992)とほぼ良い一致をしめした(Vp:9.8〜10.7km/s, Vs:5.9〜6.1km/s)、いっぽう鉄を含む系では単成分に較べ弾性波速度はかなり遅くなった(Vp:9.3〜10.2km/s, Vs:5.4〜5.7km/s)。しかし、体積弾性率はほとんど変化なく、剛性率は若干小さい値をとることがわかった。以上の結果はサンフランシスコで行われた米国地球物理連合秋季大会(AGU)で発表したほか、現在雑誌論文への投稿準備中である。
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