2002 Fiscal Year Annual Research Report
種々の末端架橋高分子網目のトポロジーとゴム弾性の相関の解明
Project/Area Number |
01J04267
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
河村 幸伸 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 末端架橋法 / 高分子網目 / ゴム弾性 / 二軸伸長試験 / ひずみエネルギー密度関数 / ポリジメチルシロキサン |
Research Abstract |
濃度の異なる溶液中で末端架橋して得られる、数種の絡み合いの程度が異なるポリジメチルシロキサン網目の独立二軸伸長試験を行い、得られたひずみ-応力の関係を各種ゴム弾性分子論が予測するひずみ-応力の関係と比較検討することで、ゴム弾性という現象を分子論的に解釈することを試みた。本研究で注目すべき点は、二軸伸長試験を用いることにより従来の一軸伸長試験の実験データのみでは明確でなかった各種分子論の提唱するモデル間の差異が明確になった点、また、末端架橋法を用いて試料を作製したために網目の構造パラメータを力学測定とは異なる方法で求められる点があげられる。比較検討に用いたモデルは、主として1990年代に提唱された最新のものを用いた。検討したモデルの中では、EdwardとVilgisが提唱したslip-linkモデルが最も実験結果を復元することができた。さらに、モデル由来の各パラメータの網目作製濃度依存性がモデルの予測する傾向に従ったのみならず、各パラメータの値は、個々の試料における網目の構造パラメータから概算される値とほぼ一致した。得られたこれらの知見より、ゴム弾性の分子論的描像は、slip-linkモデルによって記述されることが明らかとなった。 末端架橋反応を用いて両親媒性高分子網目を作製するために、一次高分子鎖の末端に反応性の高い官能基を導入する反応経路を模索した。一次高分子鎖の末端の反応率は、その後作製する両親媒性ゲルの構造に大きく起因すると考えられ、末端官能基の反応率を限りなく1に近づける必要性がある。特に、カテナン網目を作製する際には、架橋反応の反応率が高いことが必須条件であるが、この条件に答えうるだけのプレポリマーは合成できていない。今後、溶媒や反応させる高分子を変えるなどの展開を考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Kawamura, K.Urayama, S.Kohjiya: "Multiaxial deformations of end-linked poly(dimethylsiloxane) networks. 3. Effect of Entanglement Density on Strain Energy Density Function"Journal of Polymer Science Part B Polymer Physics Edition. 40. 2780 (2002)