2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウラン・トリウム放射非平衡を用いた島弧マグマ供給系の進化の研究
Project/Area Number |
01J04299
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横山 哲也 岡山大学, 固体地球研究センター, 特別研究員PD
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Keywords | ウラン・トリウム放射非平衡 / タイムスケール / 沈み込み帯 / 高精度同位体分析 / 三宅島 / ^<226>Ra |
Research Abstract |
本研究の目的は火山噴出物におけるU-Th放射非平衡を用い、島弧マグマの発生から噴出までの諸現象に詳細な時間軸を与え、それを物理化学的に定量化することである。私は前年度までに三宅島溶岩の主要元素、微量元素、Sr-Nd-Pb同位体組成、及びU・Th放射非平衡を測定し、三宅島のマグマ形成に寄与したスラブ由来の流体が、その放出から数万年以内で地表での噴出に至ることを見出していた。 本年度はU-Th系よりも更に短い時間スケールの議論に威力を発挿する^<226>Ra-^<230>Th放射非平衡測定法の開発を行った。U-Th分析と同様の方法で溶液化した試料を、全く新しい独自の方法(逐次分離法及びタンデムカラム法)により分離し、従来法を上回るRa純度と回収率(90%以上)を達成した。その結果TIMSで得られた^<226>Raの定量精度は誤差1%以内であり、従来法(誤差2%)を上回るものであった。本法を用いて三宅島溶岩の^<230>Th-^<226>Ra非平衡を測定した。その結果、U-Th非平衡同様、スラブからの流体に起因すると考えられるRaに富む大きな非平衡があり、流体放出から噴火までの時間が実際には数千年以内であることを見出した。このように極めて高速な流体やメルトのマントルウェッジ内での移動プロセスは浸透流では説明できず、割れ目系による瞬間的な移動が卓越しているはずであると結論付けた。また、『火山の噴火間隔は大局的にはスラブからの流体放出のタイミングに支配されている』というモデルを提示した。以上の結果の一部をProceedings of Japan Academy誌に公表した。また、Journal of Geophysical Research誌にも論文を投稿中である。8月にはGoldschmidt国際会議(スイス)において結果を発表した。また、9月の日本岩石鉱物鉱床学会(大阪)でも発表を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tetsuya Yokoyama, Eizo Nakamura, Katsura Kobayashi, Takeshi Kuritani: "Timing and trigger of arc volcanism controlled by fluid flushing from subducting slab"Proceedings of the Japan Academy. 78 Ser.B. 190-195 (2002)
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[Publications] Tetsuya Yokoyama, Eizo Nakamura: "Precise determination of ferrous iron in silicate rocks"Geochimica et Cosmochimica Acta. 66. 1085-1093 (2002)